日経文庫 物流がわかる<第2版>

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物流の全体像、最先端を知る

本書は、物流の基礎知識から最先端の取り組みまでわかりやすく解説します。物流企業を実際に経営しつつ、物流コンサルタントとしても活躍している著者が、国内外の企業に直接足を運び、見聞きしてきたことを伝えます。物流業界だけでなく、メーカー、商社、小売りなど関連取引先に勤める方や、就活生の方にもおすすめです。

角井 亮一 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/9/14)、出典:出版社HP

はじめに

物流は、ビジネスパーソンにとって必須の知識であり、知恵です。なかなか、この真実を理解しない人が多いのですが、私が教鞭をとる、寺島実郎先生が学長を務める多摩大学大学院の授業を受けた生徒は、皆「角井先生の授業を受けて、日常の世界の見え方が変わった」と言います。物流を知っていれば、日常やビジネス現場を、物流というフィルターの「新しい眼」で見ることができます。どんなに頭がいい人でも、このフィルターを持っていなければ、気づけないことがたくさんありますから、見える世界が広がることは、間違いなくメリットしかありません。ビジネスでは大きな武器になります。

この本を手にとった、あなたは、とてもラッキーです。なぜなら、多くの物流の本は、物流のプロ向けに書かれているため、専門的に深掘りされていて、この本のように全体を網羅したり、物流以外の部門や企業全体の活動との関わりを考えながら書かれているものは、少ないからです。また、角井の本は、だれからでもわかりやすいと言われます。実際に、多くの大学生からネット経由で、「卒論を書いていてとても参考になった」と嬉しいコメントをもらいます。

本書では、アメリカで毎年、現地に直接出向いて学び、日本No1の通販物流会社イー・ロジットや、タイの物流関連会社など3社の経営に関わる筆者が国内外に足を運んで実際に見たり聞いたりしてきたことを数多く盛り込み、説明します。IT化やグローバル化で変化する物流の世界の面白さ、物が動くということのダイナミックさ、新しいビジネスモデルが生まれる最前線を味わっていただければ幸いです。

もちろん、物流の機能と役割といった基本や、物流管理、人材育成、品質管理といった実務に役立つ基礎知識ももりこみました。では、これから、じっくり説明していきますので、ゆっくりお読みください。最後のページの時には、物流のことを「すごく面白い!この本と出会えてよかった!」と思っていただけるはずです。

2019年8月
角井亮一

角井 亮一 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/9/14)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 物流の基本と役割
1 なぜ物流が重要なのか
コンビニでわかる物流の重要性
宅配の日米比較で、日本の物流のありがたさを知る
ちゃんとモノが届くのは当然ではない
企業にとっては「納品=売上」
物流に注力する会社は収益力が高い
諸葛亮孔明は、物流を最優先にしていた
ドラッカーにとっては「経済の暗黒大陸」

2 物流とは具体的にどんな機能なのか
物流6大機能とは
輸配送——運送会社による輸送と配送
保管——在庫の数量とロケーションを管理
荷役——荷物の受け、運び、出し
包装——3つの種類と3つの機能
流通加工——値札やシールの取り付けなど
システム——物流会社のものが主流に

3 戦略物流とは何なのか
戦略物流の8大機能とは
管理——物流6大機能全体をコントロール
調整——他部門との調整
物流思考と戦略物流思考の両方大事
物流とマーケティングの関係
商品力は物流で上げられる

第2章 物流戦略の考え方
1 企業戦略の中の物流戦略
物流は企業戦略
企業戦略と物流戦略の一貫性
製販物(製造・販売・物流)の連携
S&OP(セールス&オペレーションプランニング)は意思決定プロセス
フルフィルメントが顧客満足を決める
物流は4Pすべてに関わる
物流拠点はどこに、いくつ持つべきか
ポーターの競争戦略と物流戦略
物流戦略の4C

2 成長企業における物流戦略——アイリスオーヤマ

3 ハブ活用による物流力競争
仁川国際空港——国際ハブによる国家間競争
アメリカの運送会社のハブ空港
DHLグローバル・ハブ

第3章 物流で起こす流通革新——ネット専業vsリアル店舗
1 消費者変化で流通が変わる
消費者が変われば、流通が変わる。流通が変われば、物流が変わる
スーパーの小型店化とネットスーパー
宅配サービスとしてのネットスーパー
富山の置き薬商法
自動販売機——商品を消費者のそばに
ダイレクトマーケティング(通信販売とネットワーク販売)
オムニチャネル——バーチャルとリアルの融合

2 ネット専業vsリアル店舗
アマゾンvsウォルマート
業態間競争——マクドナルドとコンビニの競争
スーパーコンビニエンス——消費者目線の4C
リアルもネットも常識にとらわれるな!

3 リアル店舗の物流が変わる
リアル店舗の物流のミッション(目的)
一括納品センター(物流センター)とセンターフィー
店舗への配送はチャーター便が増える
フルライン化を進める食品卸
アパレルチェーンの物流の取り組み
買い物難民への対応

4 ネット専業など直販会社の物流
通販物流のミッション(目的)
フルフィルメントセンター(物流センター)
宅配
ネットスーパーや食材宅配の直販
送料無料のキャンペーン
再配達ブルー

5 モバイルの激震
リビングでショッピング
リアル店舗のショールーム化
ネットからのリアル進出

第4章 先進的な物流の取り組み
1 アマゾン(フレッシュ、ロボティクス)
2 アスクル
3 ニトリホールディングス
4 ZARA
5 カルビー
6 ヨドバシ・ドット・コム

第5章 物流管理をしよう
1 物流管理の種類
戦略レベル、戦術レベル、戦闘レベル
部門別にみた物流——物流、営業、総務

2 物流のKPI
物流KPIは企業ごとに違う
物流KPIの必要性
具体的な物流KPI

3 物流コストを算出しよう
物流コスト算出はなぜ必要か
物流と企業の会計(物流コストの捉え方)
物流コストのデータをどう活用するか(物流コストの改善法)
コスト改善の注意点
在庫は物流コストに大きく影響する

4 在庫管理の基本
在庫数の管理
ロケーションの管理
在庫量を減らす管理法
まず在庫精度を上げる

第6章 人材育成と物流品質
1 顧客満足度を高める物流改善
1 物流の大切さを知る
2 物流の意味を知る
3 (物流改善を)徹底する雰囲気をつくる
4 (物流改善の)意義を理解する

2 物流品質を上げる方法
物流品質の測り方
誤納品を減らす
誤数、誤アイテム、誤納品先
納品時に気をつけること

角井 亮一 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/9/14)、出典:出版社HP