ごみから考えるSDGs 未来を変えるために、何ができる? (楽しい調べ学習シリーズ)

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ごみ問題に焦点を当ててSDGsを考える

本書は、ごみ問題を中心にして、SDGsをまとめた本です。持続可能な社会が求められる要因の一つでもあるごみ問題を入り口にして、自然環境に悪影響を与えている事例を挙げ、現状の課題を解決するためにどうすればいいかを提示しています。

はじめに

ごみ問題からSDGsを考えてみよう!

SDGsは、2030年までに世界全体で達成しようという国連の目標です。「貧困をなくそう」や「海の豊かさを守ろう」など、「どれも、大切な目標だけど、自分たちには関係がない」、と思ったりしていませんか? でも、「住み続けられるまちづくりを」などは、みんなにも関係ありますよね。よくよく考えてみると、SDGsの17の目標は、どれもわたしたちにとって身近なものなのです。SDGsの大きなポイントは、わたしたちの世界は「つながっている」、そしてそれは「一人ひとりの行動が起点」という点です。でも、こうした「つながっている世界」を、理解することはかんたんではありません。そこで、この本では、みんなと一緒に身近な「ごみ」からSDGsの世界を考えたいと思います。普段なにげなく食べているポテトチップスの袋や、飲み終わったペットボトルからも「つながる世界」が見えてきます。ウミガメの鼻にストローが刺さっていたり、大量のプラスチックがクジラのお腹から出てくるショッキングな映像を見たことがありませんか? 今、世界中で問題になっている。海洋プラスチックごみ問題。日本は、世界に誇るプラスチックのリサイクルシステムをつくってきました。しかし、分別がきちんとされずに、汚れが残った食品容器や自動販売機わきのペットボトルなどが、国内では手間や人件費がかかることからリサイクルされずに中国に輸出されていました。中国に渡ったプラスチックごみは、安いプラスチック製品の原料を作るために、劣悪な環境の下で、時には子どもも使って、仕分け・洗浄が行われ、そのまま処理されずに海に流れ出てしまっていました。自国の環境問題に目を向けた中国は、2018年にプラスチックごみの輸入禁止を発表しました。

「安い」「便利」というだけで購入して、きちんと分別をしない、それが他国の環境汚染や児童労働につながっていく。まさに、SDGsの本質「つながる世界」がわたしたちのごみ箱から見えてくるのです。かしこい消費者として選択していくこと、本当に必要なプラスチック製品とそうでない製品を見極めていくこと、ごみとなったものは分別をきちんと行って、海への流出を防ぐこと。こうした一つ一つの行動が、海洋プラスチック問題の解決につながっていくのです。この本を読みながら、SDGsの「つながる世界」について考えてみてください。

上智大学大学院
地球環境学研究科教授
織 朱實

ごみから考えるSDGs
もくじ

はじめに

1章 SDGsって何だろう?
●世界中の人に持続可能な未来を
●世界の人びとが協力して立てた目標
●調和のとれた世界に
●ごみを入り口にしてみよう
●1つの入り口がすべてにつながる

2章 ごみの一生から考えよう!
●何がごみになるんだろう?
●ごみなの? 資源なの?
●本当に必要なものは何だろう?
●手に届くまでにごみになる
●あふれるごみが地球をよごす
●海に流れ出たごみ
●一人にかえってくるプラごみ
●ごみは資源になる
●ごみを他国におしつけている

3章 どんなことができるんだろう?
●ごみをつくらないために
●一人でもできること
●家庭でできること
●みんなで集まってできること
●新しいものをつくる
●新しいことをする
●みんなによびかける

さくいん