ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性

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ベーシックインカムを含む分配について考える

本書は、ベーシックインカムだけでは不十分ということを前提として、ベーシックインカムを含む社会の分配の方法に焦点を当てた内容となっています。ベーシックインカムの入門的な説明は書かれていないため、研究向けといえます。

立岩真也 (著) , 齊藤拓 (著)
出版社 : 青土社 (2010/3/20) 、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1部 BIは行けているか?(立岩真也)
第1章 此の世の分け方
1 BI
2 此の世の分け方についての案
3 あるかもしれない違い
4 『ベーシック・インカムの哲学』

第2章 何が支持するのか
1 「資産としての職」という理解
2 どれだけを私が作ったかという理路
3 その道を行かなかったこと
4 生産の理解の変更という道
5 死者の遺したもの
6 なぜ違う道を行ったか
7 なお使うとすれば

第3章 所得(再)分配に限る必要はないこと
1 他にも分ける場がある
2 他でも分けてよい理由
3 だけでよい理由があるか
4 阻害・介入という批判
5 BIによって実現するという説

第4章 簡素そしてスティグマの回避という主張について
1 本章の要約
2 選別主義・普遍主義
3 見ないことができるか
4 「社会サービス」
5 簡素な手続き・小さな政府?
6 スティグマ
7 変位について

第5章 労働の義務について
1 本章途中までの要約
2 義務について
3 自由?
4 義務の性格・強さ
5 だが押しつけることはない
6 足りてしまっている、にしても
7 問題は消滅することはない、のだが

第6章 差異とのつきあい方
1 非優越的多様性という案
2 知らない人が判断する+実現されるわけではない
3 どんな人の選好が採用されるか
4 普通は何をするか(するべきか)
5 なぜそうなる(ならない)のか?
6 分けられないものを分けてしまう
7 よしあしを間違える
8 ぎこちなくなる

第2部 政治哲学的理念としてのベーシックインカム(齊藤拓)
一 いわゆる雇用レント説という理解
二 ヴァン・パリース政治哲学の全体像
三 「ギフト」の公正分配
四 資産としてのジョブ
五 「ジョブ」概念に関する注記
六 給料が違うのは労働生産性が違うから?
七 「生産性」を上げろ?
八 ベーシックインカム論者の「市場原理主義」
九 「機会の平等」批判
一○ 個人所得への最適課税
一一 シンプルであることはそれほど魅力的か?
一二 法人課税 企業と家族はどう違うのか
一三 「ギフト」は個人間分配すべきなのか?
一四 市場とは認識装置である
一五 「ニーズに基づいて」という主張
一六 現物給付のBI
一七 最大限に分配する最小国家
一八 市場に対する信頼――「どのように」信頼するか
一九 生存経済と市場の外部
二○ 「労働」は「生産」とは限らない
二一 ラディカルな個人主義と消極的自由
二二 市場至上主義

第3部 日本のBIをめぐる言説(齊藤拓)
財政コストの見積もり
フラット税
フランス/南ア/シチズンシップ
「生きていることは労働だ!」
経営者のBI論/消費税/他給自足社会
自発性/コモンズ/コミュニタリアン
二〇〇九年の盛り上がり
著名人たちのBI論
BI批判
終わりに

あとがき
文献表

立岩真也 (著) , 齊藤拓 (著)
出版社 : 青土社 (2010/3/20) 、出典:出版社HP

はじめに

本書は、『税を直す』(立岩・村上・橋口[2009])に続き、世界にあるものの分け方について、具体的にはベーシックインカム(BI)というアイディアについて、考えるべきことをいくつか考えてみようとする。第1部は、立岩の『現代思想』での連載(おもに二〇〇九年九月号~二〇一〇年三月号分から「政権交代」について書いた二○○九年一〇号の分等を省いた)がもとになっている。第2部は、第1部で検討されているヴァン・パリースの著作の訳者でもある齊藤が、その議論を紹介しつつ、自らの主張を展開している。第3部では、齊藤がBIについての近年の議論・言論を、齊藤の視点から紹介し解説し評している。

本書は「立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点――障老病異と共に暮らす世界の創造」の成果でもあり、拠点のウェブサイト(http://www.arsvi.com)に関連情報がある。この本の書名で検索すると関連する項目が出てくる。例えばこの本の文献リストに対応するファイルがあり、そこから本を注文することもできる。

また視覚障害などで活字版が不便な人にこの本のテキスト・ファイルを提供する。立岩(TAE01303@nifty.ne.jp)まで連絡をください。

[凡例] ※ 引用文中で[…]は中略を示す。「/」は原文の段落の変わり目を示す。
※ 文献表示は、立岩の連載(立岩[2005-)の表記が変則的である――例えば立岩[2005-(52)2010-3]の(52)は連載の第52回を示し、2010-3は二〇一〇年三月号を示す――他は、おおむね「ソシオロゴス方式」にしたがっている。本文及び注では、著者名[出版年(=訳書の出版年):頁]のように記され、当該の文献は巻末の文献表で知ることができる。また文献表では、当該の文献が本書のどこに出てくるかを、<>内の数字(頁を示す)によって知ることができる。

立岩真也 (著) , 齊藤拓 (著)
出版社 : 青土社 (2010/3/20) 、出典:出版社HP