ジョーク力養成講座

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ジョークを通して創造力を養う

この本は、理論の章が立てられている点が特徴的です。ユーモアとエスプリの違い(ユーモアは感情に訴えるもので、エスプリは知性に訴えるもの)や、ジョークの分類(言葉遊びからブラックまで10種類)など、体系立てられていて面白いです。

野内 良三 (著)
出版社 : 大修館書店 (2006/6/10)、出典:出版社HP

はじめに

ジョークは単なる「笑いの能力」ではなく、「発見の能力」でもある。ジョークに親しむことは、新しい局面、困難な状況に立たされた時のしなやかな対処能力(想像力=創造力)を培う上でも大いに役立つ。本書はジョークを通して、「現代」が求めている実践的想像力=創造力を涵養することを目的としている。

最近は日本でもジョークがもてはやされるようになったが、残念ながら(駄)洒落に代表される「言葉遊び」が中心のように見受けられる。むろん、それは悪いことではないけれども、ジョークの世界はなにも言葉遊びに尽きるものではない。もっともっと奥が深い。
たとえば世界のジョークに目を向ければ、ハイセンスな笑いが人事百般、さまざまな人間ドラマにからめて展開されている。まさに笑いの万華鏡である。しかし、それぞれの国や地域には固有の文化や伝統や民族性というものがある。広く世界のジョークを味わうには、そうした文化的前提を踏まえなければならない。このとき是非とも必要とされるのが、囚われない視点(複眼的視点)である。そして、そうした文化の多様性を見とどけることによって判断力は柔軟になるだろう。

これが第一点。人事百般、さまざまな話題がジョークでは取り上げられるが、しかしながらよく観察すると、そこに使われているテクニックは思いのほか少ない。話の展開にしてもいくつかのパターンに類型化できる。してみれば、ジョークを楽しむには笑いの型になれることも大切だということが分かる。

要するに、本書は、ジョークの傑作(全一八九編)をふんだんに援用しながら、ジョークを理解するために必要な推論の力や鋭いセンスを養成する(どちらも私たちが生きていく上で必要不可欠な基礎能力だ)。本書の伝えたいことは次の三つである(実はこの三つは一つのことに帰するのだが)。

  1. 別の視点で見ることの大切さ
  2. 想像力を羽ばたかせることの大切さ
  3. 遊び心を持つことの大切さ

構成についていえば、本書は三部から成っている。第一部は「世界のジョークを楽しむ」で、いわば体験編である。エスニック・ジョーク(民族ジョーク)を中心に世界のジョークをたっぷり味わってもらうが、それは同時に絶好の人間観察の場でもあるだろう。第二部は「ジョークの原理を考える」で、いわば理論編である。ジョークの原理をきちんと押さえることによって、ジョークの醍醐味がいっそうよく味わえるようになるだろう。第三部は「チャレンジコーナー」で、いわば実践編である。第一部と第二部で養成されたジョーク力を実際に試してみる。「初級」「中級」「上級」の各コースが用意されている。評価基準も示してあるので、ぜひトライしてほしい。さて、前口上はここまで。書名こそ大仰だが、本書は楽しい講座です。いざ、お試しあれ。

野内 良三 (著)
出版社 : 大修館書店 (2006/6/10)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第I部
世界のジョークを楽しむ
1愚かさを笑う
2権威を笑う
3体制を笑う
4自己を笑う
5日本の笑い――江戸小咄を読む
6エスニックを笑う

第Ⅱ部ジョークの原理を考える
1ユーモアとエスプリ
2言葉遊びとナンセンス
3意表に出る
4類推する
5ほのめかしと誇張

第Ⅲ部チャレンジコーナー
1初級コース
2中級コース
3上級コース

あとがき

第I部
世界のジョークを楽しむ

野内 良三 (著)
出版社 : 大修館書店 (2006/6/10)、出典:出版社HP