ユダヤ・ジョーク 人生の塩味

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上品で知的なユダヤ人の知恵

ユダヤの習慣や社会に関係のするエピソードをトピックごとに紹介している本です。それらのエピソードを読むことで、たとえば彼らが自分たちをどのように思っているのか、あるいはほかの周辺国家からどのように思われているのかといった内容がわかります。文化の違いも感じられて楽しく読める本です。

ミルトス編集部 (編集)
出版社 : ミルトス (2010/3/1)、出典:出版社HP

はじめに ユダヤ・ジョークのすすめ

笑いを楽しむのは、人間の万物の霊長たる特長であろう。人間は、生きるうえで笑いが欠かせない。心の健康ばかりでなく、身体のためにもよい。実際に、NK細胞を活性化して癌の予防と治療に効果があるなど、医学的にも証明されるようになった。

笑いは、人と人とのコミュニケーションを円滑にする。つまりユーモアやジョークを理解し、楽しむというのは、とても人間らしい行為なのである。世界のどの国民にも、笑いの文化がある。笑いはそれぞれの国民性と深い関係がある。日本では、落語や漫才などの話芸が盛んであり、さかのぼれば「天の岩戸開き」の神話 にいたる。日本人の根っこは、楽天的なのだろう。

イギリス人のユーモアは有名だ。ユーモアは笑いを代表する言葉になって、広まった。ユーモアセンスがあるかないかが、イギリス紳士の資格の一つだそうだ。逆境においてもユーモアで笑い飛ばすのが、真のイギリス人だという。第二次大戦中のチャーチル首相がそうだった。 フランス人のジョークは軽快な、機知に富んだ小咄に特長があるようだ。そのなかでも、ユダヤ人は、どの国民よりもジョーク好きで知られている。ユダヤ人は、国を失って、長い間、世界を流浪した民族だ。いろいろの苦難を味わってきた。しかし、どんな苦しみがあっても、笑いをもって乗り越えてきたのである。笑いで武装して精神を強くしてきたことに生きるヒケツがあった。それがユダヤ・ジョークである。「ユダヤ人の笑いは、まず自分について笑う。不遇や不運を笑う。自分自身ばかりでなく、神、自分たちの指導者(ラビと呼ばれる学者)、金持ちにも及んで、揶揄したり批判したりする。ユダヤ人は平等主義者なのである。

ユダヤ人は、自分たちを迫害したり見下したりするキリスト教の神父や牧師への、ひそかな抵抗として、彼らをもジョークの材料にしてしまう。あのナチスのヒットラーでも、笑いのネタになる。

ユダヤ人は、知性を重んじる民族である。そのジョークはちょっぴり知的で、ウイット(機知)と鋭い風刺に富んでいる。

安楽な生活は精神を怠けさせる。でも、人々の苦境があるところ、いまもユダヤ・ジョークは次々と生まれていく。

二千年ぶりに父祖の地、パレスチナに母国イスラエルを再建したユダヤ人、しかしまだまだ逆境が続く。現実は問題だらけ、そこには新しいジョークの花が咲いている。ユダヤ・ジョークには、その裏に泣き笑いの人生が潜んでいるのが見える。とても奥の深いものだ。ユダヤ・ジョークは人生に生気を与えてくれる調味料、人生の塩味である。ちょっと一服、気楽な思いで楽しんでいただけたら、うれしい。

ミルトス編集部 (編集)
出版社 : ミルトス (2010/3/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに ユダヤ・ジョークのすすめ 1

第1章 賢くなくては生きられない――ユダヤ人の気質を笑う
現実主義者 お見舞いの祈り 金的を射止める 撃ちすぎた 賢い泥棒 先を読む旅人 答えない理由 質問好き シナゴーグで情報キャッチ けちんぼと謝礼 確かな証拠 十戒の板 無料の物 どちらのケーキ? 旧友の訪問 医者と謝礼 ゆで卵 ユダヤなまり 神様への願い 男が先 何が大変? 道を尋ねる 穏健派? 夜のラッパ時間に関する会話力

第2章 家族は大切、しかし苦労も多い―男と女、結婚と離縁、父子を笑う
アダムの浮気 アダムの創造 良きパートナーを得るには 神様は泥棒?? 神の心遣い誇張のテクニック 一切は空で 大きな声で とんだ結婚仲人 年齢差 女の力男性の記憶力 守護天使, 天使それとも……。 夫婦と魚 ねぎらいの言葉 考古学 結婚生活 意見の対立の大切な物 一人足りない 誰の遺言? まず、おめでとう! 死亡広告 悪習も技術力 言えないわけ どら息子乃 ジューイッシュ・マザー なぞなぞ ハゲワシと姑 夜の約束 体温計 健忘症 老いてもなお 夫の癖 思い出せない 耳が遠い 秘訣

第3章 貧しい者、愚かな者は幸いなり――笑いは不運にくじけない良薬
短いお祈り かゆくてたまらない! 乞食と百姓 確実な治療法 人それぞれの専門分野 クレジットはダメ 乞食の商法 嘆きの理由 祈りと取り引き ラビの栄養 スリ 本当の愚か者の立派な連中でも 役に立たない傘 純粋科学伽 ヘルムの判決 とんち男ヘルシェル 犠牲は大き過ぎた 間違い 賢者の問い 月と太陽が

第4章 商いの道は容易じゃない――金持ちを笑うユダヤ人
ラビは役者が一枚上 大安売りの金は貸さない 流行遅れ、出荷待ち 新しい術策がX印の数川扇子の使いかた 仕立屋の計算 シナゴーグの競売!! 物忘れ 加利子ある会話!! ほんとうの金持ち 代理人はみな同じ 孤児 誠実 洞察力のある父親 歯には歯を 大富豪の知恵例

第5章 ユダヤ人の信仰はおおらか――聖書とタルムードは生きている
審声 運
なぜアダムは一人なのか? 神が与え給うた寿命 モーセと燃える柴田 学者の特権 罪人の運命 セントでも恵んで下さい ノアの箱舟の教訓 にわか仕立てのラビ 救いの声州 もっと時間をかけるべきだった すばやく悩む 学問の使い道 正しい審判用 正しい診断州 信じる者にとって真実況 誰のためにニワトリは鳴く? 利口すぎると損をする かわいそうな雌牛のタクシー運転手 ニワトリ泥棒 プリムとペサハメ プリムの祭り 秘密の方法 ミニヤンの男 なおさら悪い ユダヤ教徒の熊 神殿崩壊 曖昧な願いではダメ メズザーの設置 母を納得させた割礼 言い訳はいろいろ 厳密なコーシェル 祈りのカレ 安息日破り うるさくて困る!! 祈りを止める タルムードを教える ラビの推理方法 常に二つの可能性が さまざまな観点

第6章 ユダヤ教とキリスト教の違い――ラビと神父とどちらが賢い? :
ラビと神父 願いぬ ローマ教皇の車 三人の客施しの取り分 賢いのはどっち? 宴席にて割礼 どちらの神様? 違反切符 祝福の言葉 花婿のキス 改宗の手続き 無駄な質問 正気? 年寄り同士の十字を切る ユダヤ人墓地

第7章迫害にめげず――苦難な運命に勝つ方法
同じ理屈 互いに自己紹介ロシアの小さな町 モンテフィオール卿と反ユダヤ主義者 医者の忠告 ユダヤ人の嫌いなカリフィ とっさの機転 忘れてください なぜ髪の毛が先に白くなる? 選択 犬に言葉を 尋問官とラビ 予備行為は禁止 モーセの杖 強盗 食べ物 象について 心理学の応用 未来のための学習 神の憐れみ?

第8章 イスラエルの国が出来たけれど―現代イスラエル社会のジョーク :
ベングリオンのネクタイル コットン畑少 速度制限に忠実 質問 話の結論 生まれて八日目 駐車場探 空襲警報 耳鳴り イスラエルは健康によい地 名前が違う すべてはモーセのせい? イスラエルとは 二つの理由 素晴らしい夢 正当防衛 ニューヨーク二○三1年 言論の自由老人の祈り

あとがき

もし困難な時が来たら ただ喜ばねばならない
ブラツラヴのラビナフマン

ユダヤ・ジョーク 人生の塩味

ミルトス編集部 (編集)
出版社 : ミルトス (2010/3/1)、出典:出版社HP