「健康経営」推進ガイドブック

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健康経営がよくわかる

漠然とした言葉であった「健康経営」をわかりやすく説明しています。「健康経営」という言葉に興味がある方には、おすすめです。健康経営の普及啓発に長年取り組んできた筆者が、健康経営の基本的考え方、取り組みを進める際のポイントや手順などをコンパクトに解説してくれています。

岡田 邦夫 (著)
出版社 : 経団連出版 (2015/9/20)、出典:出版社HP

「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

はじめに

職場での不安感や心配が心身の疾病の原因となりうることが医学的研究で明らかになり、働く人の心身の健康問題が社会的にも注目されています。精神障害等に係る労災請求件数も増加しており、使用者の安全配慮義務をめぐる労災民事訴訟でも高額な損害賠償請求が認められる判例が見受けられます。このようなことから、経営者には一人ひとりの従業員の健康に配慮し、元気に働けるような職場環境を醸成すること、すなわち働く人の健康に積極的な対応をすることが強く求められています。

従業員の健康に経営者が先行投資することで、職場の生産性が向上すること、休業率が減少することは、すでに多くの研究でも指摘されているところです。企業は人なり、といわれているように、企業生産力の源はコンピューターやロボットではありません。企業が存続し続けるためには、その基盤に、お互いの健康に配慮する職場環境があるのです。

また、高齢社会を迎えた今日、従業員の健康に配慮することは、いきいきとしたセカンドライフへとつながります。退職した従業員は、消費意欲の高い顧客の立場で企業を支えたり、地域社会の支え手となることが見込まれます。その結果、地域社会と企業が良好な関係を構築し、連携してお互いを支える関係に変わることも十分考えられます。

経営者が企業利益の創造と働く人の健康増進を両立させることを目的に健康経営を推進し、働く人は自分自身の健康と職場の健康が両立できるよう自らが働きかけることによって、より高いパフォーマンスが発揮されるようになります。

そのためには、経営者はまず先行的に効果的な健康投資を行ないます。その結果、生産性の向上が認められたなら、さらに健康投資を進め、一層の生産性の向上をめざすように経営者が働く人と十分なコミュニケーションを取り、職場環境を改善することでも、いままで以上に高い生産性を確保でき、働く人たちもまた、元気で職務に取り組むことが可能となります。

本書は、「健康経営とはどのようなことか」などの健康経営の基本的な考え方から、具体的な推進方法について述べたものです。経営者、管理監督者、そして働く人の一人ひとりが自分自身の健康に高い関心を持ち、そしてお互いの健康を気遣う職場をつくることが健康経営の実践であり、それが、企業としての活力を維持し続けることにながることでしょう。

2015年7月
特定非営利活動法人
健康経営研究会理事長
岡田邦夫

岡田 邦夫 (著)
出版社 : 経団連出版 (2015/9/20)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1.健康経営の基本的な考え方
利益追求と働きがい/健康経営とは/健康経営推進の重要性/経営者、管理監督者の大きな影響力/健康経営の基本的考え方/不可欠な職場のコミュニケーション/従業員満足がもたらす労働意欲の向上/成熟した社会の構築に向けて

2.健康経営の3つの柱
[第1の柱]経営者が進める健康経営トップダウンで進める戦略構想
健康経営者としての役割/健康経営事業への展開
Q1.健康経営とはどのような考え方ですか。
Q2.経営者が自社の健康経営に取り組むポイントを教えてください。
Q3.経営者の健康経営の表明とはどのようなものですか。
Q4.健康経営に係る戦略構想とはどのようなものですか。
Q5.健康投資とはどのようなことから始めればよいですか。
Q6.健康経営推進にあたっての経営者の働きかけやコミュニケーションの留意点にはどのようなものがありますか。
Q7.経営者は健康経営に取り組むにあたり、どのようなことから着手すればよいでしょうか。
Q8.事業者と保険者の連携(コラボヘルス)とはどのようなものですか。
Q9.健康経営の目的や効果はどのようにとらえたらよいでしょうか。
[第2の柱] 管理監督者が進める健康経営―職場の快適化
Q1.管理監督者が健康経営に取り組む際の課題を教えてください。
Q2.職場環境の改善に向け、どのような配慮が必要ですか。
Q3.職場環境改善に向けた従業員からの提案や要因、どのように受け止めたらよいでしょうか。
Q4.メンタルヘルスケアにおける「ラインによるケア」とは、どのようなものですか。
Q5.メンタルヘルス不調を発症した部下の復職支援は、どのように進めればよいでしょうか。
[第3の柱] 働く人が進める健康経営一自ら築く健康と体力
Q1.自分自身の健康づくりに取り組むことの大切さとは、なんでしょうか。
Q2.「自己保健義務」とはどのようなことですか。
Q3.メンタルヘルスケアにおけるセルフケアでは、何をすればよいのでしょうか。
Q4.ストレスの気づきはどうすればよいのでしょうか。
Q5.いつも忙しいので運動ができません。どうすればよいですか。

3.参考資料
1.健康経営評価指標(全体像)
2.健康づくり自己点検表
3.「企業の「健康投資」ガイドブック」

コラム
安全配慮義務とはどのようなものか
経営トップの想いと推進担当者の熱意
「健康ソリューション企業」をめざすルネサンス
健康情報の取得・管理と個人情報保護の留意点
国民の健康寿命延伸に向けた健康経営の促進施策

表紙デザイン一矢部竜二

岡田 邦夫 (著)
出版社 : 経団連出版 (2015/9/20)、出典:出版社HP