有機化学(第2版) (ベーシック薬学教科書シリーズ)

【最新 – 有機化学を学ぶためのおすすめ本 – 基本から大学院入試の演習まで】も確認する

薬学のための有機化学が学べる

本書は、薬学部の学生向けの有機化学の教科書です。一般的な有機化学の教科書と異なり、医薬品を理解するための有機化学に重点を置いています。基礎的な内容から始まり、有機化学の中でも、薬学に関係する項目について、わかりやすく解説されています。

夏苅 英昭 (編集), 高橋 秀依 (編集)
出版社 : 化学同人; 第2版 (2016/4/15)、出典:出版社HP

ベーシック薬学教科書シリーズ刊行にあたって

平成18年4月から,薬剤師養成を目的とする薬学教育課程を6年制とする新制度がスタートしました。6年制の薬学教育の誕生とともに,大学においては薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した独自のカリキュラムに基づいた講義が始められています。この薬学コアカリキュラムに沿った教科書もすでに刊行されていますが、ベーシック薬学教科書シリーズは、それとは若干趣を異にした,今後の薬学教育に一石を投じる新しいかたちの教科書であります。薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容を十分視野に入れながらも,各科目についてのこれまでの学問としての体系を踏まえたうえで,各大学で共通して学ぶ「基礎科目」や「専門科目」に対応しています.また,ほとんどの大学で採用されているセメスター制に対応するべく,春学期・秋学期各13~15 回の講義で教えられるように配慮されています.

本ベーシック薬学教科書シリーズは、薬学としての基礎をとくに重要視しています.したがって、薬学部学生向けの「基本的な教科書」であることを念頭に入れ、すべての薬学生が身につけておかなければならない基本的な知識や主要な問題を理解できるように,内容を十分に吟味・厳選しています。

高度化・多様化した医療の世界で活躍するために、薬学生は非常に多くのことを学ばねばなりません。一つ一つのテーマが互いに関連し合っていることが理解できるよう、また薬学生が論理的な思考力を身につけられるように,科学的な論理に基づいた記述に徹して執筆されています。薬学生および薬剤師として相応しい基礎知識が習得できるよう,また薬学生の勉学意欲を高め、自学自習にも努められるように工夫された教科書です。さらに、実務実習に必要な薬学生の基本的な能力を評価する薬学共用試験(CBT・OSCE)への対応にも有用です。

このベーシック薬学教科書シリーズが,医療の担い手として活躍が期待される薬剤師や問題解決能力をもった科学的に質の高い薬剤師の養成,さらに薬剤師の新しい職能の開花・発展に少しでも寄与できることを願っています。

2007年9月
ベーシック薬学教科書シリーズ
編集委員一同

シリーズ編集委員
杉浦 幸雄 (京都大学名誉教授)
野村 靖幸 (久留米大学医学部 客員教授)
夏苅 英昭 (新潟薬科大学薬学部 客員教授)
井出 利憲 (広島大学名誉教授)
平井 みどり (神戶大学医学部教授)

夏苅 英昭 (編集), 高橋 秀依 (編集)
出版社 : 化学同人; 第2版 (2016/4/15)、出典:出版社HP

第2版の刊行にあたって

薬学部6年制が始まってから10年が経った。私たち教員は、学生とともに激動の10年を過ごし、多くの変化にもしぶとく適応してきた、薬学教育は常に変わり続けている。たとえば,2013年度には薬学教育モデル・コアカリキュラムが改訂され,2015年4月からはこれに準拠した新コアカリキュラムが施行されるようになった。新コアカリキュラムでは,有機化学の分野がややスリム化されたと感じているかたも多いかもしれない。しかし、新コアカリキュラムの特徴は,コアの部分を少なくし,各大学の独自性を組み込める,自由度の高いカリキュラム編成を可能にしたととらえるべきである.

第2版では,この新しいコアカリキュラムで提示された到達目標(SBO)をマージンに記載し、巻末の「SBO 対応頁」をすべて見直した。ただし上述のように,コアカリキュラムは最低限のカリキュラムであるとの認識に基づき、旧版と同様に,薬剤師にとってこれだけは必要と考えられる、医薬品を理解する能力を養うための教科書としての立ち位置は変わらない。

本書は、これまでに多くの先生がたから支持され、教科書として採用をしていただいている。ここに改めて感謝申し上げる。薬剤師に求められている,基本的な有機化学が学べる教科書として、今後もご愛読いただければ幸いである。

2016年3月
編者

執筆者
赤井周司 (大阪大学大学院薬学研究科 教授) 1,3,4章
東屋功 (東邦大学薬学部 教授) 2,5章
岩渕好治(東北大学薬学部 教授) 12,13,14章
忍足鉄太(帝京大学薬学部 教授) 17章
白井隆一 (同志社女子大学薬学部 教授) 7,8章
杉原多公通 (新潟薬科大学薬学部 教授) 9,10, 11章
◎高橋秀依(東京理科大学薬学部教授) 6,18章,付錄
田村修 (昭和薬科大学薬学部 教授) 15, 16 章
◎夏対英昭 (新潟薬科大学薬学部 客員教授) 6,18章,付錄
(五十音順,印丈編者)

序にかえて

薬学部の6年制がはじまり, 病院での実務実習など、医療の現場を意識した医療薬学教育の充実が求められている.しかし,薬学の礎は化学,とくに有機化学であることを忘れてはならない.薬剤師には、医師や看護師と異なり、医療現場で医薬品の構造を理解できる唯一の存在として活躍することが期待されている。最近,学士力”(大学卒業までに学生が身につけなければならない最低限の能力)という言葉が登場したが,有機化学を基礎として医薬品を理解する能力はまさに“薬学士力”である.

本書は,薬学部学生向けの「わかりやすい有機化学の教科書」を目指して編集された. 現在,多くの薬系大学において有機化学の教科書には、欧米の教科書の翻訳本が用いられている。それらは非常に優れた内容ではあるが、純粋に「有機化学を学ぶこと」を目的とした理学部的な観点から書かれており,とくにこれからの薬学教育にふさわしいか疑問である. その点を考慮し,本書は「医薬品を理解するための有機化学」という観点から編集した.編集作業では、大学に入学したばかりの学生の目線に立ち,有機化学に親しみを感じてもらえるよう、できるかぎりわかりやすい表現を心がけた。

本書は三部の構成からなり,有機化学に関する薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容を網羅している.第I部の導入編では、薬学でなぜ有機化学を学ぶか? からはじまり、有機化学の基本についてひと通りを学ぶ、第1部の基礎編では医薬品を形づくるさまざまな官能基の化学を学ぶ、第II部は応用編として、第1部,第I部で学んだ知識を活用した実践的な有機化学(医薬品への展開)を学ぶ。また,命名法については,最後に付録として学生が自習できるよう体系的にまとめた。
本書にはコラムと Advancedが設けられている。コラムは肩の力を抜いて読める興味深い内容ばかりである。一方の Advancedは少し難度の高い内容であるが,有機化学をより深く学びたい学生にはぜひ読んでいただきたい。また,現役の学生たちが考えたイラストを随所に組み込んだのも特長の一つである。これらは覚えておいてほしい事柄の直観的な理解を助けてくれると思う。本書を通して多くの学生が有機化学に親しみ理解を深め ること、そして、将来さまざまな場面で有機化学を活用できることを願っている。

最後に、表現の大幅な変更など,編者の厳しい注文に快く応じていただいた執筆者の先生がた。中心になってイラストを考えていただいた西山和沙氏(東京理科大学大学院薬学研究科博士課程) 丁寧な編集を行っていただいた化学同人の怖井文子氏に深く感謝する。

2008年10月
編者 夏苅英昭
高橋 秀依

夏苅 英昭 (編集), 高橋 秀依 (編集)
出版社 : 化学同人; 第2版 (2016/4/15)、出典:出版社HP

CONTENTS

シリーズ刊行にあたって
編集委員一覧
まえがき
執筆者一覧

Part I 導入編――有機化合物の構造と性質
1章 有機化合物の構造
1.1 有機化合物とは
1.1.1 有機化合物とは何か
1.1.2 なぜ薬学で有機化学が必須か
1.2 医薬品の化学構造
11.2.1 代表的な医薬品の化学構造
1.2.2 医薬品に含まれる化学構造
章末問題
COLUMN 年々増え続ける新規有機化合物の数

2章 原子・分子のなりたち
2.1 原子の構造
2.1.1 原子とは、
2.1.2 イオンとは
2.1.3 原子の電子配置
2.1.4 周期表
2.2 化学結合および分子のなりたち
2.2.1 共有結合
2.2.2 イオン結合
2.2.3 ルイス構造式
2.2.4 形式電荷
Advanced イオン化エネルギーの比較/原子軌道と分子軌道
2.2.5 分子の三次元的なかたち
2.3 結合のできかた――軌道の混成
2.3.1 原子軌道のかたち
2.3.2 軌道の混成
2.4 分子の性質
2.4.1 電気陰性度と結合
2.4.2 分子の極性と双極子モーメント
2.4.3 共役
2.4.4 共鳴
章末問題

3章
有機化合物の基本骨格―アルカンの化学
3.1 アルカンの構造
3.1.1 アルカンとは
3.1.2 構造異性体
3.1.3 アルカンの基本的な物性
3.1.4 アルカンの立体配座
3.2 シクロアルカン
3.2.1 シクロアルカンとは
3.2.2 シクロアルカンとひずみ
3.2.3 シクロヘキサンのいす形配座と舟形配座
3.2.4 アキシアルとエクアトリアル
3.2.5 置換基をもつシクロヘキサンの安定な立体配座
3.2.6 その他のシクロアルカン
章末問題
COLUMN
さまざまな異性体/有機化学者は省略がお好き?/美しいシクロヘキサンを書こう/多環状分子の立体的なかたち

4章 立体化学
4.1 立体配座異性体と立体配置異性体
4.2 旋光度と光学純度
4.3 絶対配置の表示法-R/S表示法
4.4 ジアステレオマーとメソ形
4.5 Fischer 投影式
章末問題
COLUMN 不斉原子をもたない鏡像異性体/D/L表示法とdl表示法/セレンディピティとパ スツール/長井長義とエフェドリン

5章 酸性度および塩基性度
5.1 酸および塩基の定義.
5.1.1 ブレンステッドーローリーの酸および塩基
5.1.2 酸性度を決める要因
5.2 有機化合物の構造と酸性度
5.2.1 誘起効果の影響
5.2.2 共鳴効果の影響
5.3 アミンの塩基性
5.3.1 塩基性度
5.3.2 アミンの塩基性を決める要因――窒素原子の非共有電子対の電子密度
5.4 ルイスの酸および塩基
章末問題
Advancedメチル基の電子供与性/混成軌道のかたちとs性 /窒素原子の軌道の混成状態と塩基性度
COLUMN pHとpK

6章 有機化合物の反応
6.1 有機化学反応と電子の動き
6.1.1 「反応する」とはどういうことか
6.1.2 結合が切れる
6.1.3 電子の動きを表す矢印
6.1.4 結合ができる
6.2 有機化学反応とエネルギー
6.2.1 発熱反応と吸熱反応
6.2.2 触媒の働き
6.3 いろいろな有機化学反応
6.3.1 置換反応
6.3.2 付加反応
6.3.3 脱離反応
6.3.4 転位反応
6.3.5 ペリ環状反応
6.4 電子の流れ矢印の書き方
6.4.1 共鳴寄与構造式を書く
6.4.2 化学反応式の電子の流れを書く
章末問題
COLUMN 化学における矢印の意味と使い方/有機化学の反応は人間社会と同じ/電子の気持ちになって考えよう

7章 アルケンおよびアルキンの性質と反応
7.1 不飽和炭化水素 アルケンおよびアルキン
7.1.1 アルケンとは
7.1.2 アルケンの構造
7.1.3 炭化水素の不飽和度
7.2 アルケンの異性体
7.2.1 アルケンの幾何異性体――シス-トランス異性体
7.2.2 アルケンの幾何異性による物理化学的な性質の違い
7.2.3 アルケンの幾何異性体の命名――E/Z異性体
7.3 アルケンの付加反応
7.3.1 カルボカチオン中間体の安定性
7.3.2 ハロゲン化水素のアルケンへの付加
7.3.3 Markovnikov付加
7.3.4 酸触媒の存在下における水およびアルコールのアルケンへの Markovnikov付加
7.3.5 水素のアルケンへの付加―接触水素化による水素のシン付加
7.3.6 アルケンのヒドロホウ素化とアルコールへの酸化
7.3.7 アルケンへのハロゲンの付加――アンチ付加
7.4 アルケンの酸化
7.4.1 アルケンのジオールへの変換
7.4.2 アルケンの開裂
7. 5共役ジエンへのハロゲンの付加
7.5.1 1,3-ブタジエンへの臭化水素の付加
7.6 アルキンとは
7.6.1 アルキンへのハロゲン化水素の付加
7.6.2 末端アルキンのケトンおよびアルデヒドへの変換
7.7 アルケンの合成
7.7.1 Lindlar 触媒によるアルキンの接触水素化
7.7.2 アルキンの Birch 還元
7.8 アルキンの合成
Advanced 多置換アルケンの安定性と水素化熱 /酢酸水銀による水のアルケンへの Markovnikov 付加/ヒドロホウ素化の位置選択性/イオンでもなく、ラジカルでもないカルベン
章末問題

8章 芳香族化合物の性質と反応
8.1 ベンゼンの構造
8.2 Hückel則
8.3 芳香族化合物の求電子置換反応
8.3.1 芳香族のハロゲン化
8.3.2 芳香族の Friedel-Crafts アルキル化
8.3.3 芳香族のFriedel-Crafts アシル化
8.3.4 芳香族のニトロ化
8.3.5 芳香族のスルホン化
8.4 芳香環上の置換基効果
8.4.1 アルキル基の効果
8.4.2 アルコキシ基,ヒドロキシ基、アミノ基の効果
8.4.3 ハロゲン置換基の効果
8.4.4 ニトロ基,ホルミル基,アシル基,シアノ基,カルボキシ基などの効果
8.4.5 アンモニウム基の効果
8.4.6 芳香族求電子置換反応の置換基効果のまとめ
8.5 芳香族化合物の求核置換反応
8.5.1 付加-脱離型で進行する芳香族求核置換反応
8.5.2 アレーンジアゾニウム塩を経由する芳香族求核置換反応
章末問題
Advanced 熱力学的支配と速度論的支配 /ベンザインを経由する求核置換反応/ジアゾニウムカップリング反応
COLUMN ベンゼンの共鳴エネルギーはどれほどの大きさか考えてみよう

9章 ハロゲン化合物
9.1 ハロゲン化合物とは
9.2 ハロゲン-炭素結合の性質
9.3 ハロゲン化アルキルで起こる反応
9.4 求核置換反応
9.4.1 SN2反応
9.4.2 SN2反応が起こりやすくなる条件
9.4.3 SN1反応
9.4.4 SN1反応が起こりやすくなる条件
9.4.5 SN1反応とSN2反応のまとめ
9.5 脱離反応
9.5.1 E2反応
9.5.2 Zaitsev 則
9.5.3 E1反応
9.6 ハロゲン化アルキルに起こる求核置換反応および脱離反応のまとめ
9.7 ハロゲン化アルキルの合成
9.7.1 ラジカル置換反応
9.7.2 アリル位の臭素化
9.7.3 求核置換反応によるアルコールからハロゲン化アルキルの合成
章末問題
Advanced E2反応で生成するアルケンの立体化学/S1反応か,SM2反応か,EI反応か, それともE2反応か? /酸化と還元の意味
COLUMN 生体内で起こっている SN2 反応

10章アルコール,フェノール,チオール
10.1 アルコール,フェノール,チオールとは
10.1.1 アルコールおよびフェノールの性質
10.1.2 アルコールの酸性度および塩基性度
10.1.3 フェノール類の酸性度
10.2 アルコールの反応
10.2.1 アルコールの酸化反応
10.2.2 アルコールの脱水によるアルケンの合成
10.2.3 アルコールのハロゲン化アルキルへの変換
10.3 フェノールの反応
10.4 アルコールの合成
10.5 フェノールの合成
10.6 チオールの性質と反応
章末問題
Advanged フェノールの抗酸化能212/チオールの抗酸化就
COLUMN CoQ10 はユビキノン/生体内に存在するアルコールやチオール

11章 エーテル
11.1 エーテル、オキシラン、スルフィドとは
11.2 エーテルの性質
11.3 エーテルの合成
11.3.1 Williamson のエーテル合成
11.3.2 オキシランの合成
11.4 エーテルの反応
11.4.1 エーテルの酸による開裂
11.4.2 エーテルの酸化
11.5 オキシランの反応
11.5.1 酸によるオキシランの開環反応
11.5.2 塩基によるオキシランの開環反応
11.6 スルフィドの合成と反応
11.6.1 スルフィドの合成
11.6.2 スルフィドの反応
章末問題
COLUMN クラウンエーテルは魔法の王冠/ベンゾピレンオキシランと発がん

12章 アルデヒドおよびケトンの性質と反応
12.1 カルボニル化合物とは
12.2 アルデヒドおよびケトンの構造と性質
12.3 アルデヒドおよびケトンの反応性
12.3.1 アルデヒドおよびケトンの求電子的性質に基づくカルボニル基への求核付加反応
12.3.2 カルボニル基に隣接する炭素での反応
12.4 カルボニル基への求核付加反応
12.4.1 ヒドリドイオンの付加一還元反応
12.4.2 炭素求核剤の付加―炭素-炭素結合形成を伴うアルコールの合成
12.4.3 酸素求核剤の付加
12.4.4 窒素求核剤の付加
12.5 カルボニル基の2位が関与する反応
12.5.1 ケトーエノール互変異性の促進
12.5.2 H-D交換反応
12.5.3 ラセミ化反応
12.5.4 アルデヒドおよびケトンのaハロゲン化
12.5.5 ハロホルム反応
12.5.6 アルドール反応
12.5.7 α, β-不飽和カルボニル化合物へ加反応 Michael 付加 250
12.6 アルデヒドおよびケトンが関与するそのほかの重要反応
12.6.1 アルデヒドおよびケトンの還元反応
12.6.2 酸化反応
12.7 アルデヒドおよびケトンの代表的な合成法
章末問題
Advanced ケトンとアルデヒドの反応性の比較/Wittig 反応
COLUMN イミン形成が関与する生体反応―視覚の化学/Michael 付加反応はなぜ1,4付加とよばれるのか

13章 カルボン酸およびカルボン酸誘導体の性質と反応
13.1 カルボン酸およびその誘導体
13.2 カルボン酸の構造と物理的性質
13.3 カルボン酸の性質一酸性と塩基性
13.3.1 カルボン酸の酸性
13.3.2 カルボン酸の塩基性
13.4 カルボン酸の反応
13.4.1 カルボン酸のヒドロキシ基で起こる反応
13.4.2 カルボン酸およびカルボン酸誘導体のカルボニル基で起こる反応
13.5 カルボン酸を原料とするカルボン酸誘導体の合成
13.5.1 酸ハロゲン化物の合成
13.5.2 カルボン酸無水物の合成
13.5.3 アルコールとの反応エステルの合成
13.5.4 アミンとの反応アミドの合成
13.6 カルボン酸塩化物を原料とするカルボン酸誘導体の合成
13.6.1 酸無水物の合成
13.6.2 アルコールとの反応――エステルの合成
13.6.3 アミンとの反応――アミドの合成
13.6.4 加水分解反応
13.7 カルボン酸無水物の反応
13.7.1 アルコールとの反応――エステルの合成
13.7.2 アミンとの反応――アミドの合成
13.8 エステルの反応
13.8.1 アミンとの反応――アミドの合成
13.8.2 加水分解
13.8.3 アルコールとの反応――エステル交換反応
13.8.4 ヒドリド還元剤との反応
13.8.5 Grignard反応剤との反応――第三級アルコールの合成
13.9 アミドの性質と反応
13.9.1 アミドの加水分解
13.9.2 ヒドリド還元剤との反応――アミンの合成
13.9.3 アミド結合が関与する反応
13.10 カルボン酸およびカルボン酸誘導体のα位での反応
13.10.1 エステルのカルボニル基のa水素が関与する反応
13.10.2 アミドのカルボニル基のa 水素の酸性
13.11 ニトリルの反応
13.11.1 加水分解
13.11.2 Grignard反応剤との反応――ケトンの合成
13.11.3 ニトリルの還元反応
13.12 カルボン酸の合成
章末問題
Advanced いろいろな酸の酸性度/カルボン酸のアシル基が受ける共鳴効果/カルボン酸およびカルボン酸塩化物のヒドリド還元剤との反応
COLUMN ペニシリンとDCC /プロドラッグとしてのエステル/アシル炭素上での付加-脱離反応が関与する生体内反応

14章 アミンの性質と反応
14.1 アミンとは
14.2 アミンの構造と性質
14.2.1 sp混成した窒素をもつアミンの構造
14.2.2 sp混成した窒素をもつアミン
14.3 アミンの塩基性と酸性
14.3.1 アミンの塩基性――プロトンとの親和性
14.3.2 アミンの酸性度
14.4 アミンの求核性と反応
14.4.1 求電子的な炭素との親和性
14.4.2 求電子的な窒素との反応――亜硝酸との反応
14.4.3 求電子的酸素との反応――アミンの酸化
14.5 アミンの脱離反応
14.5.1 Hofmann 脱離
14.6 アミンの合成法
14.6.1 アジドの還元
14.6.2 ニトロ基の還元
14.6.3 アミドの還元
14.6.4 ニトリルの還元
14.6.5 直接的アルキル化によるアミンの合成
14.6.6 Gabriel 合成
14.6.7 還元的アミノ化によるアミンの合成
14.6.8 Hofmann 転位
14. 7生体内アミン
14.7.1 アミノ酸が脱炭酸して生成するアミン
14.7.2 核酸塩基
14.7.3 ビタミン類
章末問題
Advanced アミンはキラルか/pKとpK。――酸と共役塩基,塩基と共役酸の関係
COLUMN 医薬品とアミンの酸化/モノアミンオキシダーゼ /ビタミン B.とアミノ酸の合成および代謝

PartⅢ 応用編 医薬品への展開
15章 生体内分子タンパク質・糖質・脂質
15.1 アミノ酸,ペプチドタンパク質
15.1.1 アミノ酸
15.1.2 ペプチド
15.1.3 ペプチドアナログの医薬品
15.1.4 タンパク質
15.1.5 分子間相互作用
15.2 糖質
15.2.1 単糖類
15.2.2 二糖類
15.2.3 多糖類
15.2.4 配糖体
15.2.5 生体内の糖質
15.3 脂質
15.3.1 単純脂質
15.3.2 複合脂質
15.3.3 加水分解されない脂質――ステロイド
章末問題
Advanced グリセロリン脂質の命名/生体膜の基本構造脂質二重層
COLUMN ペプチド医薬品と DDS/Amadori 転位と糖尿病/スクロースからスクラロース/糖の構造の表し方

16章 ヘテロ環化合物
16.1 ヘテロ環化合物とは
16.2 脂肪族ヘテロ環
16.3 五員環芳香族ヘテロ環化合物――ピロール,フランチオフェン
16.3.1 五員環芳香族ヘテロ環化合物の性質
16.3.2 五員環芳香族ヘテロ環化合物の芳香族求電子置換反応
16.3.3 五員環芳香族ヘテロ環化合物のリチオ化
16.4 インドール、ベンゾフラン,ベンゾチオフェン
16.4.1 インドール,ベンゾフラン,ベンゾチオフェンの求電子置換反応
16.5 アゾール類
16.5.1 アゾール類の塩基性
16.6 ピリジン
16.6.1 ピリジンの塩基性
16.6.2 ピリジンの芳香族求電子置換反応
16.6.3 ピリジンの芳香族求核置換反応
16.7 キノリンとイソキノリン
16.8 二つの窒素をもつ六員環芳香族ヘテロ環化合物
16.9 核酸
Advanced ピロールおよびフランに起こる反応/ピリジン N-オキシドの化学とオメプラゾール/2-ヒドロキシピリジンと 2-アミノ ピリジンの互変異性/ヘテロ環化合物 の合成法
16.9.1 核酸塩基
16.9.2 ヌクレオシド
16.9.3 ヌクレオチド
16.9.4 核酸
16.9.5 核酸アナログの医薬品
16.10 ヘテロ環化合物の合成
16.10.1 フラン, ピロール,チオフェンの合成
16.10.2 Fischer のインドール合成法
16.10.3 Hantzsch ピリジン合成法
章末問題

17章 炭素骨格を構築する合成反応と官能基変換
17.1 有機合成化学——標的化合物の合成法
17.2 炭素骨格を構築する合成反応
17.2.1 Diels-Alder反応
17.2.2 Claisen転位と Cope 転位
17.2.3 ピナコールピナコロン転位とWagner-Meerwein 転位
17.2.4 炭素酸のpK。とマロン酸エステル合成およびアセト酢酸エステル合成
17.2.5 アルドール反応
17.2.6 Mannich反応
17.2.7 Wittig 反応
17.2.8 そのほかの炭素-炭素結合形成反応
17.3 官能基の導入および変換法
17.3.1 酸素官能基の導入および変換法
17.3.2 窒素官能基の導入および変換法
17.4 保護基
17.4.1 ヒドロキシ基の保護基
17.4.2 アミノ基の保護基
17.4.3 カルボニル基の保護基
17.4.4 カルボキシ基の保護基
17.5 “何を”, “なぜ”, “どのように”つくるかが問われる有機合成化学
章末問題
Advanced Claisen 転位の改良法376/炭素酸のpK。値と脱プロトン化に用いる塩基の選択
COLUMEN 見逃された大発見 von Euler のニアミス /生体内でのペリ環状反応―ビミンDの生合成

18章 医薬品の合成
18.1 医薬品合成のための有機合成化学
18.2 ジアゼパムをつくる
18.3 オフロキサシンおよびレボフロキサシンをつくる
18.3.1 オフロキサシンの合成
18.3.2 レボフロキサシンの合成——光学活性化合物の取得法
18.4 ニフェジピンをつくる
18.5 アムロジピンをつくる
18.5.1 アムロジピンの合成
18.5.2 アムロジピンのエナンチオマーを得る——ジアステレオマー法
18.6 有機化学を医療現場に活かすには
18.6.1 医薬品の構造の重要性を理解する
18.6.2 官能基の性質を理解する
18.6.3 医薬品の吸収・作用・代謝は有機化学の反応
章末問題
COLUMN サリドマイドと医薬品のキラリティー/天然にないものをつくる

付録:化合物の命名法
A.1 IUPAC命名法のなりたち
A.2 IUPAC置換命名法
A.3 官能基の命名法,優先順位
B.1 アルカンの命名
B2 アルケンおよびアルキンの命名
B.3 芳香族化合物の命名
B.4 ハロゲン化アルキルの命名
B.5 アルコールおよびエーテルの命名
B.6アルデヒドおよびケトンの命名
B.7 カルボン酸および
カルボン酸誘導体の命名
B.8 アミンの命名
B.9 ヘテロ環の命名
B.10 官能基を複数もつ化合物の命名
章末問題
COLUMN アルカンの名称は数詞で/薬の顔を見ればその心がわかる? /医薬品の三つの名称
SBO対応 (薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版に対応)
索引
★本書の章末問題の解答については,化学同人 HP からダウンロードできます。
http://www.kagakudojin.co.jp/book/b219944.html

夏苅 英昭 (編集), 高橋 秀依 (編集)
出版社 : 化学同人; 第2版 (2016/4/15)、出典:出版社HP