リノベーションまちづくり 不動産事業でまちを再生する方法

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民間主導のまちづくりを実践から紐解く

本書では、民間主導で町を再生していくための方法が具体的に述べられています。理論だけでなく実践からの知見が得られ、易しい文体で記されています。実際にまちづくりに関わったものの、どのように進めていくか迷っている方向けにはベストな一冊です。

清水義次 (著)
出版社 : 学芸出版社 (2014/9/1) 、出典:出版社HP

はじめに

人口減少、高齢化、中心市街地の空洞化、増え続ける空き家、自治体の財政破綻、コミュニティ崩壊、世の中がどんどん悪くなってしまうのではないかと懸念される方も多いと思います。実は、私は今あるものを使って創造的にまちを変えていけば、もっと楽しく暮らせる世の中にしていけるのではないかと考えています。ピンチはチャンスです。

『リノベーションまちづくり』は、大都市、中核都市、小都市内に増大し続けている遊休化した不動産という空間資源をリノベーションして、都市・地域経営課題を解決する方法を書いたものです。すなわち、今あるものを使って、停滞している、衰退しているまちに変化を生み出すプロセスをどうつくり出していくか。自分のまちが手の付けようがないような状態であっても、自分たちの考え方次第、工夫次第でもっと暮らしやすく、もっと楽しいまちになる、自分たちの手でそれをやっていくんだ、そんなプロセスをつくっていくことを記したものです。

リノベーションとは、リフォームと違ってただ元通りの新しい状態に戻す行為ではありません。リノベーションは、遊休不動産などの空間資源をイノベイティブな新しい使い方で積極的に活用することにより、まちに変化を生み出すことを言います。
縮退する都市・地域には様々な都市・地域経営課題が存在します。中でも、産業の疲弊は地域を衰退させる主要因と考えられます。産業が疲弊すると生活が成り立たず、人が住めなくなるからです。
また、自治体の財政難という大きな課題が重くのしかかってきています。そう考えると民間主導の自立型地域再生が必要になってきている、すでにその時代を迎えていると感じるのは自然なことかもしれません。

本書の中身は、私自身が地域再生の現場に入って実施したプロジェクトの体験をもとにして地域を再生するノウハウを紡ぎ出したものです。
衰退している地域に変化を生み出すプロセスをどう構築していったらよいか、そして地域がどのように再生していったらよいか、次世代、次々世代までも継続する地域にどうやってしていくかをこの本から体得してもらえたら幸いです。

リノベーションまちづくりは、決して難しくありません。やり方の手順、段取りを1段ずつしっかりと組んでいけば、必ず道が開けていきます。先が少しずつ見えてきます。そして、気づくと共に歩む仲間が傍らに増えています。
そのためには、これまでの常識を捨て去ることが大切です。道元の言葉で「放てば手に満てり」という言葉があります。今までの考え方やこだわりを捨て、自分自身が現実の社会に真っ正面から向き合って考え行動することが大切です。どんな小さなことと思えることでも、その小さなことからやってみること、そしてその結果をよく観察し、次のステップに進んでいくこと、これが大事です。

リノベーションまちづくり、楽しいですよ。

清水義次

清水義次 (著)
出版社 : 学芸出版社 (2014/9/1) 、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 リノベーションまちづくりとは何か
01 リノベーションまちづくりは、何のために、何を使って、何をするのか
02 まちづくりのプレーヤーは誰か
03 民間主導型・小さいリノベーションのプロセス
04 公民連携のプロセス
05 リノベーションまちづくりの5ヶ年計画
06 まちを変えるプロジェクト
column01 結果よりもプロセスに着目する

第2章 フィールドワークに基づくエリアマーケティング
01 まちに出て観察する
02 リノベーションまちづくりの可能性を見極める
03 考現学の手法を応用する
04 スモールエリアを定量的に把握する
05 スモールエリアと周辺のまちを定性的に把握する
06 エリアマーケティングとは
07 ストーリーを編集する 仮説・読解からエリアプロデュースへの展開
column02 考現学をまちづくりに応用する

第3章 まち再生のマネジメント 自立型まちづくりの進め方
01 現代版家守とは何か
02 リノベーションまちづくりの具体的な手順
03 プロジェクトを実行する 事業計画・実施・検証・実行のPDCA
column03 まちづくり会社マネジメントのための三種の神器

第4草 公民連携型・小規模なリノベーション
CASE01 北九州市小倉家守プロジェクト
リノベーションまちづくりの典型
CASE02 千代田SOHOまちづくり
現代版家守事業の始まり
CASE03 神田RENプロジェクトとCentral East Tokyo
CASE04 家守塾
colum04 HEAD研究会

第5章 公民連携型・大規模なリノベーション
CASE01 歌舞伎町喜兵衛プロジェクトと吉本興業東京本部の廃校活用
CASE02 3331アーツ千代田
廃校を活用した民間自立型アートセンター
CASE03 岩手県紫波町オガールプロジェクト
公民連携で新しいまちの中心をつくる
column05 エリアイノベーターズブートキャンプと公民連携事業機構

第6章 公民連携型の都市経営へ
01 公だ民だと言っているヒマはない
02 0を1にする/小さく生んで大きく育てる
03 公民の不動産オーナーが連携すれば都市は変わる
04 都市再生に補助金は要らない
05 民間主導のまちづくりは何が違うのか
06 行政の役割は何か
07 民間の役割は何か
08 リノベーションまちづくりで都市・地域経営課題を解決する
09 都市政策と5ヶ年計画の重要性
10 老朽化した公共施設をどうするか
column06 稼ぐインフラ

おわりに——家守事業はどこでもできる

清水義次 (著)
出版社 : 学芸出版社 (2014/9/1) 、出典:出版社HP