経営コンサルタントの教科書 「良い経営」の本質と実践が分かる本

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経営コンサルタントとは何をするのか

本書は、経営コンサルタントを目指す方に向けて書かれた、コンサルタントの仕事や資質について解説している本です。そのため、経営学に関する基本的な内容から始まり、全体的に企業経営に関する項目それぞれの基本的な考え方の指南を行っています。読者のターゲットの関係から、内容の深掘りよりは確認が中心となっています。

小宮 一慶 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/12) 、出典:出版社HP

はじめに

本書の目的は、これまで24年にわたり経営コンサルタントとして働いてきた経験をもとに、経営コンサルタントという仕事の本質やポイント、コツを、私なりの言葉で皆さんにお伝えすることです。

私の会社(株式会社小宮コンサルタンツ)では、クライアント企業に対するコンサルティング・サービスを提供する一方で、「経営コンサルタント養成講座」を通じて経営コンサルタントになる人のためのマインドとノウハウをお教えしています。コンサルタントを志望する皆さんには、私の著書を含めていろいろな本・教科書を読んでもらったり、ケーススタディやグループディスカッション、経営手法のシミュレーションで実践的な知識を身につけてもらうようにしていますが、そこで私が一番伝えたいのは、経営の本質や具体的なポイントとは何か?ということです。本質やポイントが分かれば、どこでも適用できるからです。

たとえば、本書でも中心テーマとして取り上げている「お客さま第一」の本質とは何でしょうか?ごく当たり前の質問のように聞こえますが、きちんと答えられる人は多くありません。「お客さまのためになることをやります……」などと曖昧なことを答えたり、あるいは「電話の対応を良くします」というようにピントの外れた返答をする人が少なくありません。

コンサルティングの現場では、お客さまの「答え」を導き出してあげなければなりません。言い換えれば、お客さまの課題に対して「核心を突いた答え」を提供することが、経営コンサルタントの仕事なのです。

そこで本書では、一人前の経営コンサルタントならばきちんと答えられなければならないと私が考えている「質問」に対する「答え」を提示し、なぜそうなのかを解説するというスタイルを採用しました。まず「質問」と「答え」にアプローチして、自分でなぜそうなのかと考えてみてください。そして解説を読んでみて、納得してもらえればそれでいいですし、疑問を感じるなら自分なりの答えを考えてもらってもかまいません。経営コンサルタントにとって、なぜそんな質問が重要なのか?なぜその答えなのか?ということをよく考えながら読んでいただければと思います。

おそらく本書を手に取っていただいた皆さんのなかには、将来はコンサルタントとして活躍したいという希望をお持ちの学生さんや、金融機関や大企業で働いてきた経験を活かしてコンサルタントとして独立することを検討している方々、あるいは、すでにコンサルタントの仕事に就いていて、もっと実力を高めたいと思っている方々がいらっしゃるでしょう。経営者の方々にも、経営のポイントを知るいい機会になると思います。そうした読者の皆さんに、私の経験や考え方を少しでも役立てていただければ、これ以上の幸せはありません。

世の中の社長さんから「あなた一人に相談したい」と指名されるような経営コンサルタントに成長されることを願ってやみません。

令和元年一一月 小宮一慶

小宮 一慶 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/12) 、出典:出版社HP

[目次]

はじめに

第一章 経営の本質
Q001 「お客さま第一」の本質とは?
Q002 短期的な業績を高めるための事業の「方向づけ」を正しく行うために必要なことは? Q003 「資源の最適配分」を正しく行うためのポイントは?

経営コンサルタントの心得[その一] 経済は人を幸せにする道具——藤本幸邦老師の教え

Q004 「人を動かす」ためのポイントは?
Q005 松下幸之助さんの「宇宙の原理」とは?
Q006 稲盛和夫さんの「成功の方程式」とは?
Q007 ピーター・ドラッカーが定義するマネジメントの目的は?
Q008 マーケティングとは何か?
Q009 目的と目標の違いは何か?
Q010 「目的」を「目標」に落とし込む際の最初の目標は?

第二章 経営の実践
Q011 ピーター・ドラッカーが「方向づけ」のために重要だと主張する三要素は?
Q012 『ビジョナリー・カンパニー2』の「針鼠の概念」とは?
Q013 経営会議で時間を使うべきことは?

経営コンサルタントの心得[その二] コンサルタントは「教祖」ではなく「宣教師」を目指すべき

Q014 お客さまの「六つの段階」とは?
Q015 「感動」は「満足」より重要か?
Q016 PDCAの本質は何か?
Q017 「クレームゼロ運動」は是か非か?

第三章 人を動かす
Q018 「良い仕事」の三つの要素は?
Q019 「良い会社」の三つの要素は?
Q020 ビジョンや理念が浸透する前提は?
Q021 どうすれば「働きがい」を感じてもらえるか?

経営コンサルタントの心得[その三] 「向いていない人」を採用してはいけない

Q022 会社が働く人に与えられる「二つの幸せ」とは?
Q023 ビジネスパーソンの「基礎力」とは?
Q024 社員の基礎力を高めるために有効な方法は?

経営コンサルタントの心得[その四」
「草野球チームを甲子園に連れて行く」

Q025 コミュニケーションで大事な二つの要素は?

第四章 経営者に求められる資質
Q026 経営者として成功するために行うべきことは?
Q027 会社をつぶす社長の特徴は?
Q028 指揮官が先頭に立っているか?
Q029 お客さまに会っているか?
Q030 いつも勉強しているか?
Q031 新聞を読んでいるか?

経営コンサルタントの心得[その五] メモしなければ脳のデータベースに記録されない

Q032 師匠を持っているか?
Q033 自己中心的でないか?
Q034 「なれる最高の自分」を目指しているか?
Q035 素直か?
Q036 「人を心からほめる」ことができるか?
Q037 信念を持っているか?

第五章 会計と財務の要点
Q038 貸借対照表の「負債」と「純資産」の違いは?
Q039 流動比率と自己資本比率の関係は?
Q040 手元流動性の適正額は?

経営コンサルタントの心得[その六] 財務の考え方の基本は上場企業も中小企業も同じ

Q041 会社の安全性を判断するときに真っ先に見るべき指標は?
Q042 キャッシュ・フロー計算書のどこに注目すべきか?
Q043 「バランスシートが痩せている」とはどういうことか?
Q044 「高収益」の定義は?
Q045 ROEとROAの関係は?
Q046 WACCとROAの関係は?

小宮 一慶 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/12) 、出典:出版社HP