巨匠に教わる絵画の見かた (リトルキュレーターシリーズ)

【最新 – 名画の見方を学ぶためのおすすめ解説本 – 構図や色彩から時代背景・歴史まで】も確認する

西洋美術史をわかりやすく

本書は、西洋美術の有名な作品の中で、巨匠たちが言葉を残しているものを中心に、作品の見かたを解説している本です。画家の背景や作品の特徴などを交えながら、鑑賞のアドバイスを紹介しています。歴史の流れに沿った編集がされており、作品や画家が、どのような立場にいたのかが大きな視点から理解することができます。

早坂 優子 (著)
出版社 : 視覚デザイン研究所 (1996/10/1)、出典:出版社HP

目次

画家が登場するルネサンス
ルネサンスまでの美術史

ルネサンス前夜 13-14世紀
ジョット

イタリアルネサンス 14-16世紀
ダ・ヴィンチ
ミケランジェロ
ラファエロ
ルネサンスの3大スター関係図

ルネサンスヴェネツィア派
ティツィアーノ
ティントレット

北方ルネサンス 15-16世紀
デューラー
もうひとつの美術史の見方

バロック 16世紀後-18世紀前
カラヴァッジョ
エル・グレコ
ルーベンス
ベラスケス
マネが見たベラスケス
レンブラント
フェルメール
ダリが見たフェルメール

ロココ 18世紀初—18世紀後
ヴァトー
ブーシェ
シャルダン
ゴヤ
新しい歴史画の誕生 1808年5月3日

新古典主義 18世紀後-19世紀初
アングル
ドガが見たアングル

ロマン主義 18世紀末-19世紀後
ジェリコー
ドラクロワ
ターナー

写実主義 19世紀中
絵画は社会を映す鏡
クールベ
ミレー
ドーミエ
ミレーの解釈をめぐるゴッホとダリ

印象主義 19世紀後
マネ
スキャンダラスな絵の行方
モネ
ルノワール
ルノワールの好きな絵
ドガ

新印象主義
スーラ
シニャック

後期印象主義 19世紀末-20世紀初
ゴーギャン
ゴーギャンが見た名画のポーズ
ゴッホ
セザンヌ

象徴主義/ナビ派 19世紀末
シャヴァンヌ
サロンで生まれた美術運動
ルドン
ドニ
ボナール
ヴュイヤール

世紀末芸術
クリムト
女流画家たちの出現

ドイツ表現主義の先駆
ムンク

20世紀美術 第一次世界大戦まで
マティス
ドラン
芸術家に見る愛のかたち
ピカソ
ブラック
皆乏生活は画家の常

20世紀美術 第一時世界大戦後
カンディンスキー
マルク
クレー
みんなが見ていたセザンヌ
モンドリアン
デ・キリコ
ダリ
ミロ
ジャコメッティ
ゴーキー
デ・クーニング
ポロック
ロスコ
ホックニ
ルネサンス以降の美術史
現代アートの現状は…

画家の発言に関する文献リスト
索引

エコール・ド・パリ
シャガール
モディリアニ
ユトリロ
芸術家はカフェが好き

早坂 優子 (著)
出版社 : 視覚デザイン研究所 (1996/10/1)、出典:出版社HP

画家が登場するルネサンス

名乗り始める芸術家たち
一四世紀のイタリアに始まり、やがてヨーロッパ全土に広がっていくルネサンスの波は、芸術復興の名のもとに、古典を見直し、さらに人間性を見直すという、それまでの意識を変革する大きな出来事でした。さらに、ルネサンスの人間があらゆる事物の中心であり、基準であるという思想は制作者としての個人の認識を一気に高めました。それまで匿名の職人として存在していた画家は、作品に自分の思想や個性を投影して自分を語らせ、また、見る側もそれを個人の芸術家の作品として認識するという人対人との関係に変化していったのです。ただの手仕事のように考えられ、作品の値段が、材料の値段で決められていた絵画に、画家の創造性が認められ、独自の地位をえたのです。イタリアルネサンスの三大スターの出現はこの変化を何よりも鮮明にしています。それからは、個人の名前を手に入れた芸術家は作品と共に、その思考や概念を文章に書き表し、その存在と立場を確立しようとしました。それは日記や書面、インタビューなどになって残っています。その画家の制作における発想やプロセス、影響関係などが私たちに興味深く語りかけてくるのです。

画家は何を見たか
どんな巨匠でも、出発は先人の模倣から。始めます。しかし、過去の作品から学ぶだけではなく、それをいかに消化し、新たな価値を生み出すかということが、真の目的なのです。画家たちは、先人たちの仕事を理論的に消化するとともに、両題や構図、モチーフ、色彩といったあらゆる面で酒去の名作を模写し、引用し、愛奏して、その時代の新しい意味をつけ加えています。さて本書では、①画家自身の作品に対する言葉、②同時代の画家、作品に対する言葉、③影響を受けた過去の画家、作品に対する言葉を作品とともに紹介しました。過去の画家たちからの意外な影響、同時代の画家との交流、批判、ライバル意識などを通して、私たちが絵を見るときのヒントになるかも知れません。

ルーヴルは我々が読み方を教わる本です。しかし先人たちの画法を覚えるだけです。満足せず、美しい自然を研究しましょう。自然から精神を引き出し、自分を表現することに努めましょう。また、時間と反省とが視覚を少しずつ整理し、理解力がもたらされます。
参考P106、文献26
セザンヌ

セザンスが、ヴォラールの肖像を描いていたころ、午後をルーヴルでの素描に費やしている。ルーヴル行きは、肖像を描く朝の仕事を突き放してみる手助けとなった。前日の仕事を判断し、統御するには、芸術家は常に、この距離をとることが必要なのである。
参考P128、文献43
マティス

芸術家に力があると、いえるのは模倣者ができたときだ。ミレーやクールペルソーから免状をもらった者がいるかい。でも、多くの画家が彼らの影響を受けて、彼らに引き寄せられている。
参考P114、文献52
ルドン

早坂 優子 (著)
出版社 : 視覚デザイン研究所 (1996/10/1)、出典:出版社HP