量子コンピューターが本当にすごい Google、NASAで実用が始まった“夢の計算機” (PHP新書)

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夢の計算機

量子コンピューターは、量子力学の原理を使って複数の計算を同時に行い、スパコンを圧倒的に凌ぐ計算能力を持っています。2013年にNASAやGoogleで導入され、今後社会を変えていくであろう希望の存在です。本書では、そんな量子コンピューターについて文理問わず楽しめるように、基礎の基礎から解説されています。

竹内 薫 (著), 丸山 篤史(構成) (その他)
出版社 : PHP研究所 (2015/5/15)、出典:出版社HP

プロローグ

20XX年、世界は静かに混乱していた。今年に入ってから、明らかに、幾つかの重要な国家機密や、国際金融機関の情報が、ハッキングされていたのだ。個々の案件は、混乱を避けるため、まだマスコミには秘匿されている。各国の諜報部が密かに調査を進めているものの、それぞれの案件に明確なスパイ活動の痕跡は見当たらなかった。あたかも、その情報にアクセスできる権限を持った人間が、正式な手段で堂々と持ち出したかのようである。しかし、そのような権限を持つ人間でも、業務外で許可無く機密情報を持ち出すことなど、できはしない。彼らは、それだけの責任や監視と引き換えに高額な報酬を与えられていたし、高度な情報倫理を備えているはずだった。では、いったい、どこの誰が?

20XX年 7月XX日 午後4時26分 アメリカ ニューヨーク市
「なぁ、ミシェル!ちょっと、これ見てくれよ!」
ポールの声はカン高くて、逗末の人気もなくなったオフィスに、よく響く。僕は、珈琲をマグカップに注ぎ足そうと立ち上がったところだった。
「おっと、脅かすなよ。どうした、ボール? まだ仕事中だぜ。面白い動画の検索は帰ってからにしろよ。」
同期のポールは金融工学のスペシャリストで、ウチの銀行ではメインのシステムエンジニアなんだが、不真面目な勤務態度が玉に瑕だ。役職では、僕が上司になってしまったが、電算室に隣接したオフィスの中だと、彼の実力に、さっぱり頭が上がらない。
「違うって、ミシェル。何か、おかしいんだよ。」
「おいおい。珍しく、仕事の話かい。それとも役員のスキャンダルでも見つけちまったか?」
「真面目に聞いてくれよ、ミシェル。下手すると、スキャンダルどころの騒ぎじゃないんだ!今週、メインコンピューターに、何かインストールしたって話、お前は聞いてる?」
興奮気味に立ち上がって、ポールはモニターを指差した。冷めた珈琲も残り少ない。僕はマグカップを片手に、ポールの席まで。移動した。彼の開発した独自のインターフェイスの中では、目まぐるしく数字が変動している。
「いや? ここしばらく、メインコンピューターの動作は安定している。システムのバグも見つかっていないし、今、動いているプログラムの変更も聞いていないな。」
「だったら、やはり変だ。」
「どういうことだ、ポール?」
「俺の見たことのないファイルが増えている。巧妙に隠されているが、バックグラウンドで動いているプログラムがある。そいつのせいで、若干CPUが重い。おかげで気づいたんだ。」
「お前、メインコンピューターに入っている全部のファイル名を覚えているのか? 呆れたな。」
「たまたまだよ、ミシェル。去年、連邦準備銀行(FRB)とデータをやり取りする際に、この部分のチェックが必要だったんだ。」
「FRBとは穏やかじゃないな。で、そのプログラムは、いったい何をしているんだ?」
「まだ分からん。どうも、ウチの個人口座をスキャンして回っているみたいなんだが、その先で何をしているのかを追跡できない。こんなヤツは初めてだ。」
真顔のポールを見るなんて何年ぶりだろう? 僕の背筋に冷たいものが流れた。
「ちょっと待て! そりゃヤバイだろ? 顧客の資産が盗まれているのか、マズイぞ!」
「その心配は、無いよ。真っ先にチェックしたさ。そして、個人情報を収集しているわけでもなさそうなんだ。ただ、いったい何をしたいのか、さっぱり分からん。」
「気持ち悪いな。そんなプログラム、すぐに止めて解析しろよ。」
「俺も、そうしたいさ。だが、こいつを止めると、ウチのシステム全体に影響が出るぞ。なんせ全ての口座につながっている。もちろん、全ての支店の。」
「なんだって?営業時間外にシステムを止めて処理できないのか?」
「難しいな。ウチのメインコンピューターは株式市場とも連動している。こっちが夜でも、あっちは昼だ。とても止められん。しかも、だ。どうやらFRBにデータを送っているぜ、こいつ。」
「どういうことだ? まさかFRBがウチのメインコンピューターに何か仕込んだ、と……。」
「まぁ、結論を出すには早すぎる。今は、そこまで言えんよ。ただ、見逃すこともできん。上にかけ合って、FRBに問い合わせるべきじゃないか?」
「分かったよ、ポール。悪いが、週明けまでにレポートを書いてくれ。もう一度、月曜に詳しい話を聞くよ。それまでに、俺は、お偉方を押さえておく。秘書課のチャールズには貸しがあるからな。ヤツらが地球の裏側でゴルフコンペしていたって連れ戻すさ。FRBのシステムの連中にもコネはあるから、まずは非公式で探ってみる。」
「あぁ、俺も、今のままで解析できるところは、やってみる。ったく、ウチのシステムが、ハッキングされたなんて、ムカつくぜ……。」
親指の爪を噛みながら、ポールは自分の椅子に腰かけた。こう見えて、自分の仕事には、大層プライドの高い男なのだ。そしてポールは、クルッと椅子を回転させて、僕を見上げながら、こう言った。
「気をつけろ、ミシェル。月曜の朝刊で、お前の顔を見るなんて、ゴメンだぜ?」
「ジーザス! 縁起でもないこと言うなよ、ポール……。」
僕は、すっかり冷めた珈琲をグイッと飲み干し、大きな溜息をついた。

20XX年 7月XX日 午前5時53分 アメリカ ヴァージニア州
「……いったい、どうすりゃいいんだ。」
「……どうやって防ぐかって意味か?」
「……あぁ、それも、そうなんだが。」
「……どうやったら、こんなことができる?」
「……さっぱり分からん。」
彼らは、戦略ミサイル原子力潜水艦(戦略原潜)の運用マニュアルを開発し、実際の運用実績をフィードバックされ、データを蓄積するとともに、リアルタイムで運用状況を更新している一員だ。ペンタゴン(アメリカ国防総省)から発注された、民間会社に所属している。しかしエンジニアとはいえ、半分は軍属のようなものだ。秘密保持や管理は並みのモノでは無い。
戦略ミサイル、いわゆる中長距離核ミサイルを搭載した原子力潜水艦は「いつ、どこにいるか分からない」ため、アメリカに敵対する存在は、先制攻撃によって全ての戦力を破壊することができない。つまり、確実に、報復的な攻撃を受けることになる。それが、アメリカの軍事的優位の根幹が戦略原潜にある、という言葉の意味するところだ。隠密行動が任務の主体である潜水艦の中でも、豊富な電源により、海中で酸素の補給が可能な原子力潜水艦の自由度は計り知れない。深海にある潜水艦の位置を地上で捕捉することは極めて至難なのだ。しかし、いかに原潜といえど、補給は必要だ。ローテーションによって常に穴の開かないように配備すると同時に、どこで待機するのか、それこそ文字通り「戦略」的に運用されている。もしも任意の時点における戦略原潜の位置が分かっているとしたら、アメリカの軍事的優位は薄れてしまうだろう。
「……それが、そんなに堂々と盗み見られるものなのか?」
「……情報にアクセスできる権限は、常に分散されている。」
「……あぁ。全ての情報を横断的に見ることができる人間は、いないはずだ。」
「……だが、コイツは、ほとんど全ての情報に手をつけている。」
「……つまり分散された権限を持つ全ての人間が、一堂に会して、国家を裏切っている、とでも?」
「……ありえないな。ログを見る限り、単一の端末のようだ。」
「……たしかに、このシステムは、全てのログを消せない。」
「……ログを消す行為までパックアップして記録するからな。バックアップは別システムだから気づかれなかったようだ。」
「……パックアップのログを見る限り、同時に複数の攻撃ではないと思う。」
「……早すぎる。逆探知のようなことも試しているが、次々と、進入経路が変わって、追いつけない。」
「……向こうのアクセス速度も、ほとんど落ちない。」
「……今、1時間に1回の頻度で、ランダムに暗号のキーを変えているんだぞ?」
「……これ以上の頻度で暗号を交換すると、こっちのヒューマンエラーが問題になってくるな。」
「……根本的な解決策が見つかるまでは、しばらく第二次大戦以前のレベルに戻るしかない。」
「……つまり、システムをネットから切り離して、指令の伝達には伝令兵を使うってことか。」
「……なんてこった。」
「……もちろん、身内に裏切り者が一人もいない、と仮定しての話だがね。」

20XX年 7月XX日 午後8時05分 アメリカ ニューヨーク市
「バーで話せる内容じゃないな、ミシェル。場所を変えよう。」
「どういう意味だ? ちょっと待てよ、半パイントのビールくらい飲ませてくれ。」
ダニエルは、プレップ・スクールからの親友だ。大学を卒業してからも、たびたび連絡を取り合っている。FRBのシステムにいる僕の知り合い、とは彼のことだった。
「しばらく歩きながら話をしよう、ミシェル。」
僕は、早足でダニエルを追いかけながら、嫌な予感がしていた。
「実は、君の銀行だけじゃないんだ、ミシェル。」
「おいおい、いったいFRBは何をやっているんだ?」
「頼むから、俺を信じてくれ、ミシェル。君との友情に誓って、真実だけを言うよ。この件に関して、FRBは何も疚しいことなどしていないし、そもそも一切、関係していない。」
ダニエルは足を止めて、僕の方に顔を向けた。
「しかし、ダニエル、僕の銀行だけではないってのは、どういう意味なんだ?」
「あぁ、知っていることは話すよ。だが、君にも約束して欲しい。まだ他言は無用だ。」
ダニエルは、また前を向いて、ゆっくり歩き出した。
「OK。質問の仕方を変えるよ。いったい、何が起こっているんだ?」
「ここ数週間、いや、もっと前からだったのかもしれない。アチコチの機密が抜かれているんだ。君たち、大手の銀行からは機密というより、ハッキリと預金が狙われているんだがね。」
「ちょっと待ってくれ。少なくとも、まだウチの預金に不正な出金は確認できていない。腕っこきのエンジニアが言うんだから問違いない。」
「おそらく、利子さ。まだ、確信は持てないんだが、確率の高い推測のはずだよ。ようするに、こういうことさ。個人の口座では小数点以下の利子は切り捨てられているだろ? それを銀行の支店規模で合算して吸い上げている。そして電子マネーとして送金しているのさ。」
「何だって? FRBに、かい?」
「違う、違う。FRBは、ただの通過点なんだ。FRBからは、別の国の中央銀行に送られているらしい。データは圧縮し、分割されて、FRBを通じて、さらに世界中にある各国の中央銀行のどこかを通じて、別の国の銀行に送られ、そこから、どこかに送られ、ネットの海の中に沈んでいる。おそらく、我が国だけじゃない。各国でも同じことが起きている。だが、どの国もお互いの疑いを拭い去れないし、分割された断片的なデータだけでは何も分からない。当然ながら、再現もできない。君の銀行も、データを送るだけじゃなく、届いているはずなんだ。より正確には通過しているんだろうけどね。」
「どこの誰が、そんなことを……。いや、そもそも、そんな技術がありうるのか?」
「分からん。どうやって断片化され、拡散されたファイルを回収しているのかも、どうやって元のデータに復元できるのかも、からっきし分からないんだ。ただ、この推測が当たっていれば、世界中の銀行から、これまで切り捨てられていた、膨大な個人資産の利子が、どこかに回収されていることになるね。」

一時的な措置としてではあるが、完全に情報を守るためには、コンピューターをネットから切り離し、スタンドアローンにするしかなかった。それは、まさしく国家レベル、国際経済レベルでのパニックといってよかった。まだ世間には知られていないとはいえ、いずれ事態を隠し通せなくなることは目に見えている。このままだと、被害は拡大するばかりだ。この件について、各国首脳は連絡を取り合い、早急に、世界規模の情報機関を設立することで、非公式の合意がまとまろうとしていた。しかし、お互いの疑心暗鬼を解消することは困難なことだった。
なぜなら、ある意味、犯行の手口は明らかだったからだ。情報の流出がヒューマンエラーでないのなら、事態はシンプルである。そう、世界で最も安全と考えられていた暗号を簡単に解く方法が、いつの間にか、どこかで開発され、悪用されているのだ。
ほぼ全ての情報は、今や電子化されている。その安全性を保障してきたのが暗号技術だというのに、その暗号が使えなくては、どうしようもない。現在の暗号そのものは、一般にも公開されている。しかし鍵も無くデータの復号を行うことは容易ではない。たとえ最新のスパコンでも、数学的には数万年かかる計算景のはずなのだ。これまで「そこまで復号に時間がかかるということは、事実上、暗号を破ることは不可能といってよい」と専門家の見解は一致していた。しかし、現実に、暗号は次々と破られている。信じがたいことだが、万能のマスターキーでも持つかのごとく、あらゆる機関の機密が犯人によってアクセスされているのだ。
まさか、そんな膨大な計算量をリアルタイムにこなせる、とんでもない計算速度を持ったコンピューターが開発されたというのだろうか。既存のスパコンをも遥かに凌ぐような!? そんな犯行が個人や民間のレベルで行いうるだろうか。いや、そのような規模の開発は、これまで国家機関のレベルで行われてきたもののはずだ。
畢竟、各国は、お互いに、他国の仕業であることを疑い合っていた……。

さて、いきなり下手な経済小説っぽくスタートしてみたが、本書のテーマは量子コンピューターである。お間違えありませんように。
冒頭では「量子コンピューターの凄い計算力」を悪用すると、今の世界で使用している暗号が筒抜けになってしまうかも? という可能性を描いている。ようするに、もし量子コンピューターが、唐突かつ秘密裏に登場し、世界を暗躍したら、どうなるだろう? ということを想像してみたのだ。現在の通信に暗号技術が使えないと、世界は、政治的にも経済的にも、かなりのダメージを受けることになってしまうことは、想像に難くない。
今や、世界中がコンピューターのネットワークで相互に接続され、仕事から日常生活まで、インターネットが、あらゆる通信手段のメインストリームになりつつある。こうした情報のやり取りを僕らが安全に行えるのも、通信技術と暗号技術が発達したおかげなのである。
暗号については、第5章で改めてお話ししようと思うが、ここで簡単に説明しておくと、現在の暗号技術は「原理的に解けないわけではない」のだ。ただし、復号の鍵を一から探すための組み合わせが膨大な数字になるので、「事実上(時間的に)、解けないことと同じ」と考えられているわけだ。その「膨大な数字の組み合わせ」を一瞬にして計算できるならば、現在の暗号は「解法の分かっているパズル」にすぎない。つまり、インターネットの安全性が崩壊してしまうことになりかねない、というわけだ。そうした可能性を予見させるものが、量子コンピューターなのである。
もちろん、量子コンピューターは暗号解読に使われるばかりではなく、今のコンピューターが苦手とする、さまざまな問題を解決することが期待されている。この話は第6章で説明しよう。
少し前までは、量子コンピューターの開発には100年かかると考えられていた。いわゆる夢の技術、というヤツだ。しかし2011年、驚くべきニュースが飛び込んできた。カナダで商用の量子コンピューター、D-Waveが開発されたというのだ。そして2013年には、天下のGoogleやNASAでも採用されているというのである。この話題の量子コンピューター、D-Waveについては、第7章で詳しく取り上げるつもりである。
本書は、そもそも計算って何だろう? という根本的なところから考えはじめて、最終的には、最新の量子コンピューターの話題まで、読者の皆さんに理解してもらえるよう構成した。イメージとしては、皆さんにタイムマシンに乗ってもらって、過去の計算機から近未来の量子コンピューターまでをご案内! といったところだ。
それでは、ごゆるりと、計算機をめぐる時空の旅をお楽しみください!

2015年5月 竹内薫・丸山篤史

竹内 薫 (著), 丸山 篤史(構成) (その他)
出版社 : PHP研究所 (2015/5/15)、出典:出版社HP

量子コンピューターが本当にすごい◆目次

プロローグ

第1章 そもそも、「計算する」ってどういうこと?
計算とは何か?
人類は、大きい数の計算をどのように行ってきたのか
なぜ「関数」というのか?
江戸時代は算木で方程式を解いた
なぜ対数のようなややこしいものを計算に使うのか?
計算尺はすごい
calculateとcomputeの違い
アナログとデジタルの違いは?
世界最古、歯車式のコンピューター

第2章 コンピューターとはなんだ?
逸話の宝庫 天才バベッジ
階差機関とは――関数の階差を利用して多項式を計算
約20億円かけても完成しなかった階差機関
解析機関とは――計算機からコンピューターへ
エイダ――人類初のプログラマーとなった女性

第3章 コンピューターは、中で何をやっているのか?
コンピューターの原理を探り当てたチューリング
チューリング・マシンとは?――三つの部品でどんな計算でも行う
チューリング・マシンの計算ステップ
チューリング・マシンから万能チューリング・マシンへ
ゲーデルの不完全性定理
なぜ、絶対不可能な計算があるといえるのか
チューリング・テスト――人間の知能と同じ人工知能とは
人類を超えた天才フォン・ノイマン
フォン・ノイマン型コンピューターの六つの特徴
論理演算とは?
論理ゲート――電子回路で論理演算を行う
世界初の現代的コンピューターは、誰が発明したのか?

第4章 量子ってなんだろう?
電子装置小型化の限界
量子は「量の最小単位」
波長と温度の関係の研究がきっかけとなった
アインシュタイン登場
光量子仮説――光は粒子、エネルギーのカタマリ
光量子仮説の正しさを補強したコンプトン効果
物質波――この世の全ては、物質でもあり波でもある
シュレディンガー登場
シュレディンガー方程式とは?
ハイゼンベルクの運動方程式
行列とは連立方程式の成分を並べ変えたもの
便利な逆行列
波動力学vs行列力学
実際の波なのか、存在確率の大きさのことなのか
量子トンネル効果とは?

第5章 暗号――その華麗なる歴史
二人きりの秘密の合図
ナホバ族の言葉が暗号に
アトパシュ、シーザー暗号、スキュタレー暗号
ポリュビオス暗号とポケベル
暗号解読法「頻度分析」とその対策
ステガノグラフィー――驚愕! 吉田兼好の超絶技巧
電気機械式暗号機械 エニグマ
イギリスの政府暗号学校に勤めたチューリング
エニグマvsポーランド
捕虜の一言でエニグマ攻略
現代の暗号、公開鍵方式
RSA暗号の開発者たち
RSA暗号は素数を利用している

第6章 量子コンピューターって、なんだ?
今までのおさらい
量子コンピューターの概念を提唱した人々
衝撃! ショアのアルゴリズム
ハードウェア開発の試行錯誤、そしてD-Wave登場
量子コンピューターに解くことが期待されている計算問題
0と1が重ね合わせ状態で書き込まれるテープ
量子ビットの状態を回転させるユニタリ・ゲート
信号線と制御線で「量子絡み合い」の状態を生み出す制御NOTゲート
量子の世界では、一見、光速を超えるような現象がある
量子の波が壊れる量子デコヒーレンス
確率的にしか答えを得られない
ショアのアルゴリズム
フーリエ変換で余りの周期を求める
量子暗号のしくみ

第7章 D-Waveの衝撃!
D-Wave Systems社の誕生
D-Wave発売
D-Waveは従来型と何が違うのか
量子アニーリング方式とは?
磁束量子を超伝導回路に閉じ込める
D-Waveのチップは何をしているのか
量子アニーリング方式は「最小作用の法則」を用いている
量子コンピューターは何をもたらすのか

参考文献

装幀者 芦澤泰偉+児崎雅淑
帯写真 カナダD-Wave Systemsの量子コンピューター「D-Wave Two」(写真提供 : D-Wave Systems Inc 協力 ユニフォト プレス)

竹内 薫 (著), 丸山 篤史(構成) (その他)
出版社 : PHP研究所 (2015/5/15)、出典:出版社HP