コロナ危機を生き残る飲食店の秘密

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集客のヒントが満載

チェーン店デザイン数日本一の著者が、店舗設計の実証データに基づいて繁盛店に導くデザインの秘密を紹介しています。これから起業されたい方、飲食店やB to Cに従事されている方にとって必携の1冊です。また飲食ビジネスに限らず、施策の本質やお客様への態度を見つめ直すきっかけとなるでしょう。

はじめに

デザインを変えるだけで繁盛店に変わる

「おしゃれだなあ。カッコイイけど、落ち着かないな」
「美味しそう……でもなんだか敷居が高そうだなあ」
「雰囲気がある店だけど、中がよく見えないから入るのに勇気がいるな……」

出張先の見知らぬ街で、仕事終わりに空腹をかかえて飲食店街をさ迷いながら、どの店に入ろうか考えあぐねる——あなたにもそんな経験はありませんか?
人は店をパッと見たとき、脳内で無意識に「プラスの感情」と「マイナスの感情」を抱きます。
プラス=「この店に入ろう」
マイナス=「この店はやめておこう」
プラス感情のレッテルを貼られた店は繁盛し、常連客が絶えません。
一方、マイナス感情のレッテルを貼られた店は、なかなか人が入ってくれないので、生き残ることができません。
これを、繁盛店とつぶれる店の「プラス/マイナスの法則」と私は呼んでいます。

プラスとマイナスに分かれる決定的な違いは、店の「デザイン」にあります。
看板や外観や内装、客席、厨房、動線など、店全体の空間デザインに、繁盛店になるか否かを決定づける重要なポイントがあるのです。
しかし、実はそのことに気づいていない人が多いのが実情です。
本書には、私自身が手掛けた店舗設計の膨大な実証データに基づき、集客率・回転率・競争力・収益性を上げて繁盛店に導くデザインの秘密が詰まっています。
「なぜデザインを変えると、繁盛店になり、コロナ危機でも生き残れるのか?」
その答えは本書に余すところなく書かれています。
ただし、本書は単なる常識的な教科書本とは一線を画するオリジナリティの高い本です。

「えっ、あの店がこんな斬新なデザインに?」
「なるほど、このデザインの発想は使える!」
本書にはそんなオリジナルのノウハウやアイデアが満載なので、店舗設計や店舗経営にかかわるすべての方々に、ぜひご一読いただきたいと思います。

チェーン店デザイン日本一の設計士が教える行列の科学

私は外食チェーン店を中心とした設計会社を経営しています。
今まで20年以上にわたり、国内外のチェーン店の設計デザインを手掛けてきました。
私はエリートの大先生ではなく、20代の頃からこの世界に入った現場たたき上げの設計士ですが、その実績は日本一だと自負しています。

今までお世話になってきたのは——株式会社吉野家ホールディングス(吉野家)、株式会社ゼンショーホールディングス(すき家、なか卯、ココス、ビッグボーイ、はま寿司)、株式会社トリドールホールディングス(とりどーる)、株式会社アントワークス(すた丼、デンバープレミアム、㐂久好)、アークランドサービスホールディングス株式会社(かつや)、株式会社ゴリップ(ゴッチーズ・ビーフ、牛カツ京都勝牛)、株式会社モスフードサービス(モスバーガー)、株式会社フレッシュネス(フレッシュネスバーガー)、すかいらーくグループ(すかいらーく)、サトフードサービス株式会社、千房株式会社(千房、ぷれじでんと千房)など、日本の飲食業界のトップ企業各社と取り引きしています。

これは今までの実績の一端ですが、たとえば西日本にある約500店舗の「なか卯」は、私がほとんど設計デザインを手掛けました。
また、ゼンショーホールディングスのグループ会社に所属していたときは、「すき家」をはじめとする300店以上の設計監理にかかわりました。
みなさんも、私が設計デザインを手掛けた牛丼店を一度は訪れたことがあるのではないでしょうか?
「吉野家」現社長の河村泰貴氏には、「大西君は、牛丼屋をいちばん知っている男」と言われました。私の豊富な実績を買って、メディアで話題になった「黒い吉野家」の設計デザインに私を指名してくださったのも河村社長です。

こうした日本の名だたる飲食店企業グループのみなさんから、「大西に頼みたい」と設計デザインのオーダーをしていただけるのは大変光栄なことです。

日本の飲食店チェーンだけでなく、幅広い業態の店舗デザインも国内外で多数手掛けています。たとえば中国では、「味千ラーメン」など大手飲食チェーン店や現地の「ローソン」をはじめとするコンビニエンスストア14社、アパレルショップ、美容院、スーパーマーケット、ショッピングモールのほか、アリババがプロデュースしている百貨店の内装デザインにもかかわっています。

ありえないほど悪条件の店舗を、劇的によみがえらせて大評判になった事例。
自己満足なカッコよさにこだわって、職人と大ゲンカしたエピソード。
国内ではおなじみのコンビニを、海外でまったく異なるデザインで展開して売り上げが120%になった事例——
本書では、私が実際に手掛けた店舗をはじめ、さまざまな事例をご紹介しながらデザインによる具体的な集客の秘策をたっぷりご紹介します。
ちなみに、みなさんは牛丼屋の看板がなぜオレンジなのか、考えたことはありますか?そんなところにも繁盛店の法則があるのです。

コロナでも生き残る「ダサカッコイイ」の法則

よく“デザイン”というと、「見た目をカッコよくすること」と思われがちです。
しかし私が標榜するのは、「ダサカッコイイ」デザインです。
私の提唱するダサカッコイイとは、単に見た目のカッコよさだけでなく、マーケティングや機能性、コストパフォーマンスまで考慮した多角的なデザインのことです。
それは、私が数々の店舗デザインをするなかで試行錯誤しながら見いだした、極めて実効性の高い方法論です。

アフターコロナの時代は、単なるクールでカッコイイだけの店は生き残ることが困難です。
この過酷なサバイバル時代に、お客さまもスタッフも経営者も三者が満足する繁盛店を作り、それを維持していくには、多角的な視点でとらえたデザイン思考が不可欠です。

本書では、アフターコロナ時代に即した店舗デザインの方向性や、新業態についてもご紹介します。
私自身、オープンしたての自店がコロナ禍とバッティングするという最悪の事態に見舞われました。
帆を揚げて意気揚々と船出したとたん、いきなり大しけに遭ってしまったようなものです。
ところが、そんな荒波にもまれる小舟状態でオープンした店が、結果的には毎月黒字を叩き出すという順風満帆な状態をキープしています。
いったい、どんな策を講じてピンチをチャンスに転じたのか?
その危機脱出劇も本書で詳しくお話しします。

行列のできる繁盛店に導く科学というと、店舗経営に特化した話だと思われるかもしれませんが、幅広い業態のビジネスパーソンのみなさんにとってヒントになる話がたくさんあるはずです。
本書の主眼は、さまざまな業界がコロナ稿でかつてない危機に瀕するなか、マイナスの状況をいかにプラスに転じるかということです。
私自身、デザイン設計事務所を立ち上げる以前の会社員時代には、倒産、失業、ヘッドハンティングをはじめ、激しいアップダウンをいやというほど体験し、危機を乗り越えてきました。
同じように懸命に頑張っている経営者やビジネスパーソンにとって、本書が強力な次の一手につながれば、これほどうれしいことはありません。

目次

はじめに

(第1章) あの店はなぜコロナ禍で黒字になったのか?
飲食店廃業数が過去最大になった3つの理由
あの店がコロナ禍でも収益がアップしたワケ
お客さまが求めているのは何か?
お持ち帰りを1秒でアピる3つのアイテム
コロナ危機をチャンスに転換
ニューオープンの店を千客万来にする仕掛け
なぜ、あの店はうまくいかなかったのか?
海外チェーンが日本で成功する秘策
1店舗作るために、100店舗は見る
カッコよくても稼げなければただの自己満足
協力業者との世間話から世の中を知る
なぜ、のれんのすり切れたラーメン店が生き残るのか?
アッパー層に愛される一流店とタレントショップの違い
繁盛店は新規客1割、リピーター9割
コラム ブーム店は必ず廃れる「一発屋の法則」」

(第2章) なんとなく入りたくなる店の秘密
「居心地がいい」店を作るなら「居心地が悪い」店に行こう
スタバはなぜ競合に強いのか?
お客さまの「会話」によって空間デザインは変わる
その「合理化」はお客さまのため?
「入りやすい店名」と「入りにくい店名」の違いとは?
店名プラスご当地ブランディング
150m前からドライバーを店に誘導
なぜ「すき家」の入り口に時計台があるのか?
「ららぽーと」も「イオン」もドアがない
「一風堂」の狭い間口に仕掛けた工夫
店頭3m地点で瞬時に伝える「安心感」
ホームページでも「安心・安全」の見える化
「入りにくい店」を「入りやすい店」にする8つのポイント
コラム 新しい選択肢「ゴーストレストラン」と「クラウドキッチン」

(第3章) 行列ができる店には
「ダサカッコイイ」の法則がある
「ダサカッコイイ」の法則とは?
成長性や収益性は「店の顔」に出る
オンがオフに切り替わる「脱力の瞬間」をつかむ
ドヤ顔の美意識より、ハートに響く優しいデザイン
非常識を常識に変えた中国「ローソン」の快進撃
USJで遊んだ後にお客さまが望むものは?
行列はできるものではなく、作るもの
待ち時間もストレスにならないおもてなし演出
店とスタッフのセンスにズレがないか?
流行りの音楽を流せば客が喜ぶわけではない
トイレのデザインにも手を抜かない
コラム SNS発信もグラフィックデザインも餅は餅屋に

(第4章) 牛丼屋の看板はなぜオレンジ色なのか?
空間デザインで作業効率も回転率も収益もアップ!
効率のいい動きはCAに学べ!
接客スタッフが癒やされるとなぜ収益が上がるのか?
スタッフのバックヤードに芝生のオアシスを
背中合わせのソーシャルディスタンス
使って汚れるなら「ちょいダサ」がいい
「かつや」はカッコイイを追求しなかったから成功した
流行りのスタイルより、オールドスタイル
「チラ見せ」萌え効果の活用術
胃袋をわしづかみにする「丸見え」パフォーマンス
照明が暗いほど客単価が上がる
店の第一印象を決めるのは「店の顔」
美味しい店に欠かせない色彩の法則